AgileWorks導入事例「東急建設」~既存システムの操作性踏襲と手厚いサポート体制でスムーズな移行を実現したワークフローシステム刷新プロジェクト~

1946年の創業以来、暮らしに密着した幅広い事業を展開する東急グループの一員として、「生活者に安心で快適な生活環境を提供すること」を目指してきた東急建設株式会社(以下、東急建設)。建設現場全体をICT化することで、建設業界の働き方改革や、品質や安全性、生産性の向上を目指している。その一環として、ワークフロー(電子決裁)システムの刷新に、日鉄ソリューションズ(以下「NSSOL」)からAgileWorksを導入。AgileWorksやNSSOLの支援などについて、東急建設の矢代氏、小和瀬氏、遠藤氏に話を聞いた。
話し手

ICT戦略推進部 コーポレートICTグループ
リーダー次長

ICT戦略推進部 コーポレートICTグループ
担当課長

ICT戦略推進部 コーポレートICTグループ
課長代理
ワークフローシステムの刷新では旧システムの操作性と運用を踏襲
ワークフローシステムはデジタル活用の一環として以前から運用していましたが、全社利用されていないという課題がありました。理由はいくつかありますが、たとえば機能追加要求に対応しようとしてもシステム老朽化により改修が困難だったことが挙げられます。また、システムを載せていたOSのEOSL(End Of Service Life: 保守サービス終了)が迫っていたことも課題の1つでした。
こういった課題を解決すべく2019年第2四半期から検討を開始し、AgileWorksを採用した新ワークフローシステムへの刷新を決定しました。
使い慣れたシステムの操作性を変更すると使い勝手の悪化や問い合わせの増加などが懸念されますし、部署ごとに異なる回付ルールも維持する必要があります。また、紙の帳票類をデジタル化していこうという全体的な方針がありましたので、内製で追加開発ができるかどうかも重要でした。
こうした要件を踏まえ、ワークフローシステムを扱うベンダー数社に提案を依頼して3製品にまで絞り込み、最終的にはNSSOLからAgileWorksを導入することを決定しました。内製運用が可能な操作性、拡張性、現行機能の網羅性、サポート体制、納期、プレゼン能力、会社の信頼性、コストなどが評価のポイントでしたね。
ワークフローシステムの刷新では将来の拡張性を重視しており、電子契約や文書管理との連携も意識しました。NSSOLには現在運用中の文書管理システムでも導入を支援いただいており、将来の一元管理も見据えてNSSOLとAgileWorksを選定しました。
絞り込んだ3製品の中では、AgileWorksが最も導入コストが低く、費用対効果も高いと判断しました。運用コストは最安ではなかったですが、機能要件など総合的な判断としてAgileWorksを選定しました。
紙の帳票もデジタル化
AgileWorksの採用決定が2019年7月、8月までが要件定義、9月~11月にシステムを実装というスケジュールでした。その後12月までにシステムの展開準備を行い、2020年1月~3月には社内説明会を実施、同時に旧ワークフローシステムからのデータ移行を並行して行い、2020年4月にカットオーバーとなりました。
周辺システムとの連携に少し工夫が必要でした。たとえば旧ワークフローシステムには一般決裁と呼ばれる社内稟議的なものに加え、営業担当者が使っている受注決裁もあったためSFAとの連携が必要でした。しかしSFAベンダーとのやりとりもNSSOLの担当者にリードしてもらえたのでスムーズな連携を実現できました。
導入時には新たな帳票ワークフローも作りました。もとは2種類の帳票を使い分けていたのですが、用途別に数多くの帳票を追加開発しようということになり、総務部や経営企画部なども巻き込んで便利に使える仕組みの実現を目指しました。要件のヒアリングや、どこまでシステム化すべきかの判断や調整には苦労もありましたが、NSSOLの支援もあって予定通りに進行でき、カットオーバーに間に合わせることができました。
旧システムには、組織変更や人事異動などがあるとシステム部門が手作業でメンテナンスするという負荷の高い運用がありました。そこでAgileWorksでは、基幹システムと連携して自動変更されるよう構築しました。
基幹システムの組織マスターは論理的な組織構造になっており、システム上は人が所属していない組織もあります。一方のワークフローシステムは人の所属ありきの組織構造です。これらをどのように紐付け、新しいワークフローシステムにとって効率的な組織体系をいかに実現するか、という部分には工夫と苦労がありましたね。
カットオーバーの3カ月前から社内説明会を実施しましたし、操作方法を紹介する動画や、説明用のポータル、問い合わせ窓口などを用意し、抵抗感や混乱がなくなるよう努めました。こういったサポート体制と合わせ、AgileWorksでは旧ワークフローシステムの操作性も再現していたので、ユーザー部門には特に抵抗感なく受け入れられたのではないかと思っています。
テレワークで決裁ができるようになったことは想定外の効果
AgileWorksに期待した課題解決や必要な機能の実装に関しては、ほぼ達成できています。今回はワークフローシステムの刷新がテーマでしたが、紙だった申請書類のデジタル化についても順次対応しています。これが完了すれば、さらなる業務効率化が期待できるでしょう。
また旧ワークフローシステムはタブレット端末での決裁ができない問題がありましたが、AgileWorksにしたことでできるようになりました。移動時間などの隙間時間を利用した決裁も可能になり、意思決定を迅速化できたと思っております。
2020年はコロナ禍があり、総務部門の強い要望で4月からの利用開始を決断したのですが、AgileWorks導入でテレワーク中でもスムーズに決裁が進むようになりました。実をいうとこれは想定外の効果だったのですが、もし旧ワークフローシステムのままであればハンコ業務のために出社する必要があり、決裁や意思決定が遅れてしまうという事態に陥っていたはずです。4月の利用開始は、振り返ってみれば正解でした。
受注決裁に関していえば、以前は支店の決裁のみを処理していましたが、AgileWorksへの移行後は首都圏の工事などにまで対応範囲を拡大できました。主要な支店では説明会も開催したので、ユーザーから操作性などの問い合わせは特になかったことも付け加えておきます。
デジタル化推進の一環として紙の帳票類をAgileWorksに統一したいと思っていましたが、今回のシステム刷新でユーザーがAgileWorksに慣れたことで、新規追加した帳票ワークフローについても抵抗感なく受け入れられたことも大きな成果です。
NSSOLには多くのアドオン開発を対応いただきましたが、合わせてワークフローの作り方をNSSOLから学び、基本的なものなら内製できるような体制を確立できつつあります。高機能で、社内でも開発できる使いやすさがAgileWorksの最大の特長だと思っています。
以前は承認者が外出中や出張中の場合の決裁・捺印業務の進行に課題がありましたが、AgileWorksでは外出先からスマートデバイスで決裁・捺印できるので、コンプライアンスを順守しながら業務の効率化を図れました。
紙の帳票の電子化やワークフローシステムと周辺システムの連携が容易にできるのがAgileWorksの魅力なので、今後はたとえば電子契約システムとの連携など、決裁後の処理を連携することで、よりシームレスなワークフロー環境を実現したいと思っています。NSSOLには引き続き支援をお願いしたいですね。

東急建設株式会社
- 本 社:
- 〒150-8340 東京都渋谷区渋谷1-16-14 渋谷地下鉄ビル
- 創 業:
- 1946年3月12日(創立1959年11月11日)
- 設 立:
- 2003年4月10日
- 従業員数:
- 2,617名(2021年3月31日現在)
- 連結売上高:
- 2,314億円(2021年3月期決算)
※所属等、記事掲載の内容は制作当時(2021年3月)のものです。