大規模組織向け ペーパーレス推進のためのワークフロー製品の選び方ガイド【提案編-前編】

大規模組織向け ペーパーレス推進のためのワークフロー製品の選び方ガイド【提案編-前編】

ワークフロー製品を導入しているものの、電子化されているのは一部の業務で、依然として紙の書類のままで申請-承認を回す業務のある企業は少なくありません。紙の書類は必ず印刷やコピー、押印、決められた場所での整理・保管が必要なため多大な工数が費やされるほか、テレワークなどウィズコロナ時代の新しい働き方の妨げにもなります。

そこで求められるのがペーパーレス化を実現するワークフロー製品です。本記事では、架空の企業であるN社に対する提案をユースケースとし、ワークフロー製品の検討から導入、運用までの一連のプロセスを解説していきます。これからワークフロー製品の導入やリプレースを検討される方にお勧めできる内容です。

登場人物

肥前
肥前(ひぜん)
業界歴30年のベテランコンサルタント。特に旧世代製品から現行製品へのリプレース提案には社内外からの評価が高い。
吉谷
吉谷(よしたに)
入社4年目の若手営業。一人で提案に行くことが増えてきた。ワークフロー製品について日々勉強中。

コロナ禍で顕在化した現行ワークフローの課題


吉谷
N社様にワークフロー製品の商談に伺うことになったのですが、NSSOLとして、どんな提案をすればよいのか相談に乗っていただけますか。

肥前
いいよ。N社様は製造業界でも名の知られた企業で組織も大きいから、これまでも何らかのワークフロー製品は使ってきたはずだよね。

吉谷

はい。海外製で古くからあるグループウェアをワークフローシステムとしてお使いです。ただ、経費精算、システム利用申請、身上書などはワークフローシステムで回していましたが、稟議・決裁は紙の書類で回しているそうです。

今回、N社様に伺うことになったのは、このグループウェア製品をリプレースしたいということでお声をかけていただいたのがきっかけです。


肥前
N社様は、具体的にどんなご要望をお持ちなのかな。

吉谷

紙ベースの稟議・決裁業務を電子化するとともに、経費精算などグループウェアで行ってきたワークフローも合わせた統合システムにしたいというのが最大のご要望です。

紙の書類のやりとりでは印刷や押印による決裁が必要で、N社様もコロナ禍でほぼ全員がテレワークに移行したにもかかわらず、ハンコをもらうためだけに出勤しなければならないケースもあったようです。

また、既存のグループウェアで運用してきたワークフローの中にはブラックボックス化したものもあり、これを機に稟議を含めてすべてのワークフローを統合し、さらにはスマートフォンを使って社外からでも気軽に上長が承認までできるようにしたいとお考えです。それには新しいワークフロー製品が必要です。


肥前
既存のグループウェア製品のバージョンアップは検討しなかったのかな。

吉谷
はじめはそれも考えたとのことですが、とにかくコストや工数がかかりすぎてあきらめたそうです。

肥前

よくある話だね。実はアドオン開発にもさまざまなレベルがあって、その製品が標準公開しているパラメーターの設定変更で行ったカスタマイズなら、バージョンアップにも比較的容易に対応できる。

ところがワークフローの本体機能に関わる申請画面や承認ルートまで独自のプログラムで作り込んでいる、要するにアドオン開発が山盛りの状態になると、ワークフローシステムのバージョンアップはライセンスコストや開発コストの増大を招く。

さらにはアドオン開発時の担当者がいなくなってしまうことによるブラックボックス化など、多くの問題を引き起こすことになる。


吉谷
N社様も、まさに同じことをおっしゃっていました。

肥前

それなら今回は、N社様が課題を解決するための提案を差し上げなくては。ワークフロー製品は長期間にわたって使われることも多いからね。

毎年のように行われる組織変更や人事異動はもちろん、業態そのものの変化や今般のコロナ禍のような予測できない事態が起こった場合でも、業務の変化に柔軟に対応できて、なおかつペーパーレスを実現するワークフロー製品をお薦めすることが重要だよ。