従業員エンゲージメント向上による効果とは?メリット、取り組み方法を解説

従業員エンゲージメント向上による効果とは?メリット、取り組み方法を解説

働き方や雇用形態の多様化など、企業と従業員を取り巻く社会環境は大きく変化しました。企業と従業員の関係性を良好に保つためには、これまでのように自然に任せるというわけにはいかなくなっています。企業と従業員の結びつきを表す従業員エンゲージメントを強化することは、将来的な企業存続にも大きな影響を与えます。ここでは従業員エンゲージメントの概念やその重要性、向上させていくための取り組みについて解説します。

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従業員エンゲージメントとは

従業員エンゲージメントの定義と現状、関連する言葉との違いについて解説します。

従業員エンゲージメントの定義

エンゲージメント(engagement)は「関係者同士の強い結びつき」を示し、日本語で「婚約」「誓約」「約束」「契約」などに訳されます。
「従業員エンゲージメント」は、個人(従業員)と組織が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係性であると定義されます。

従業員エンゲージメントは1990年代に、米国で注目されるようになった考え方です。

個人主義、短期契約が一般的な米国社会では、優秀な人材との結びつきをいかに強くするかが重視されるようになりました。従業員エンゲージメントの観点においては、従業員満足度を高めるために企業側がただ従業員の要望に応えるだけではなく、双方が主体的に関係構築することが求められます。

従業員エンゲージメントには従業員満足度のほか、従業員の企業に対しての信頼度、愛着や所属の喜び、貢献感など多くの要素があると考えられています。相互のつながりを強くすることで、従業員のモチベーションが高まり、働く喜びを感じられるようになれば、離職率の低下が期待できます。

また、従業員エンゲージメントへの取り組みは、最終的には個々の従業員と組織全体の生産性・企業力の向上へとつながります。

日本の従業員エンゲージメントの実態

経済産業省が設置した「未来人材会議」の事務局資料によると、日本の従業員エンゲージメントは国際的に最低水準にあります。また同資料では、従業員エンゲージメントと労働生産性・営業利益率との間に相関関係があるとしています。

参照:第1回 未来人材会議|経済産業省

一方、株式会社リクルートマネジメントソリューションズ発表の調査では、エンゲージメントの高さが離職意向低下や個人の幸福感向上につながるという結果となっています。とはいうものの、仕事への熱意がある人は約4割、仕事から活力を得ている人は約2割と過半数に満たない状況です。モチベーション向上を個人任せにせず、エンゲージメントを高める効果的な制度や仕組みが重要と考えられます。

同調査によると、エンゲージメントは、仕事で良い結果を得られたときや、組織の役に立っていると実感することで高められています。逆に、次のような場合にはエンゲージメントが下がります。

  • 仕事が誰のためにもならないと感じるとき
  • 誰でもできる仕事だと感じるとき
  • 上司から理不尽な扱いを受けたとき

上記の調査結果から、エンゲージメントには、日々の業務における従業員側の考え方や感情が大きくかかわっていることがわかります。

参照:【調査発表】「ワークエンゲージメント」実態調査 結果を発表|リクルートマネジメントソリューションズ

企業側は、従業員エンゲージメントと労働生産性・営業利益率の関係性に着目しており、大手企業を中心に取り組みを進める動きが見えています。現状では、企業規模が大きいほど積極的に取り組んでいる傾向があります。

現在の日本社会では、働き方の多様化が進み、欧米並みに個人主義の考え方が強くなってきています。それでも、従業員エンゲージメントの重要性への認識はまだ十分ではありません。

しかし、先述した経済産業省の資料が示すように、労働生産性と従業員エンゲージメントは強く関連しています。今後は、従業員エンゲージメントへのいっそうの理解を促進し、各企業が課題意識をもって取り組むことが求められます。

混同されやすい言葉との違い

経営において重要とされる言葉には、従業員エンゲージメントと混同されやすい用語も多数あります。用語の概念と違いを解説します。

モチベーションとの違い

モチベーションは、従業員自身の働くことに対する心理状態を指す言葉です。一方、従業員エンゲージメントは従業員と企業との間の関係性を表します。モチベーション向上が従業員を主体とする課題であるのに対し、従業員エンゲージメントは双方を主体とした、企業側からの働きかけが必要となります。

従業員満足度(ES)との違い

従業員満足度(Employee Satisfaction)は、福利厚生やマネジメント、職場環境、人間関係、働きがいなどについて従業員の満足度を表す指標です。ESが高ければ従業員は居心地が良いと感じるため、企業側はこの指標を基準として施策を実施し、業務環境の改善に努めます。

従業員エンゲージメントには、従業員満足度のほか、企業との相互的な関係構築によって従業員に自発的な貢献意欲が備わることも含まれます。その企業で働くことに満足するだけではなく、より良くしていくために働きたいと思えるようになるのを目指します。

ロイヤルティとの違い

ロイヤルティとは「忠誠」を表す言葉です。愛社精神、企業への忠誠心といった意味となりますが、この場合には貢献において主従関係・上下関係が内在すると考えられます。

従業員エンゲージメントでは、自発的・自律的な貢献意欲であることが重要です。従属的な意識ではなく、信頼を培いながら、ともに成長していく相互関係をつくる点が異なります。

ワークエンゲージメントとの違い

ワークエンゲージメントは、個人の仕事に対するポジティブな感情の「状態」を表します。仕事に対して活力・熱意・没頭が満たされている精神状態です。一方で、従業員エンゲージメントは、より包括的な意味で捉えることができます。仕事への意欲を生み出す土台となる企業への信頼、ビジョンへの共感といった、企業との関係性・心理状態を表します。

ワークエンゲージメントの詳細や向上のためのポイントはこちらの記事でも詳細を解説しています。併せてご一読ください。

参考記事:ワークエンゲージメントとは?定義や高めるためのポイントを紹介

従業員エンゲージメントの必要性

従業員エンゲージメントがなぜ重要視されるのか、日本企業が抱える課題を見ながら解説します。

注目されるようになった背景

従業員エンゲージメントが注目される背景には、社会構造や働くことへの考え方の変化があります。

人材の流動化

非正規雇用で働く人の割合が全体の4割近くを占める現代社会では、従来の新卒一括採用・年功序列・終身雇用という働き方があたりまえではなくなりました。

正社員であっても離職・転職への抵抗感が薄れており、精神的・経済的に従業員の人生における雇用先企業の重要度が下がってきていると考えられます。

キャリア自律

働く企業に対するこだわりが低下する一方、自らのキャリアを主体的に形成する意識を持つ人が増え、「キャリア自律」という考え方が聞かれるようになりました。

「環境の変化をいとわない」「自らの意思により進む方向性を決める」といった考えをもつ従業員は、目指すキャリアが目的となるため働く場所に固執しません。企業ではなく、求めている仕事を軸として考えるため、転職はむしろキャリアを得るための手段となります。

コミュニケーションの非対面性

新型コロナウイルスの影響によりリモートワークやテレワークが浸透し、働き方改革で目が向けられ始めていた、働き方の多様性が一気に広がりました。

業務遂行の場が企業内に限定されなくなり、オンラインを通じた業務上のやりとりが一般的になりました。しかし、オンラインのコミュニケーションは対面でのコミュニケーションに比べ、人との距離感がつかみにくく、気軽に話しかけづらい傾向が見られます。

コミュニケーションが希薄化すると、社内における人と人との結びつきが弱まり、企業と従業員との関係構築が弱体化する可能性があるのです。

また、上司が部下の働きぶりを直接見られなくなると、評価体制の変革を余儀なくされます。働き方の変化に合わせて評価体制を構築できない場合、従業員の企業に対する信頼性がゆらぐリスクが生じます。

日本人の特性

長らく日本の企業経営を支えてきた終身雇用と年功序列という制度では、雇用の安定性が確保されていました。この制度には、従業員にとっては雇用の安定、企業にとっては企業に対する従業員の帰属意識の強さというメリットがありました。

日本人の特性を表す際に「ムラ社会」という言葉がよく使われますが、終身雇用制度の仕組みが受け入れられてきたのも、そうした民族的な性質が下地となっていたと考えられます。

日本型雇用による特有の問題

日本型雇用制度には弊害もあります。グローバル化が進むなかで、日本の従業員は欧米各国のビジネスパーソンと比較すると、受け身姿勢である傾向が強いと指摘されます。

トップ・経営層・上司に対して素直に従う反面、一般社員からの提案により経営を変えていこうという意識が、あまり一般化されていません。業務に対しても、自らどのような仕事をしていくべきかを考えてこなかった、または考える必要がなかったともいえるでしょう。

命じられた仕事をこなすことに慣れてしまうと、自律的に行動できず、自発的な貢献意欲にもつながりません。

また、トップダウンが主流であった日本企業では、経営陣のビジョンや理念に対する従業員の関心が低くなりがちです。現場にある自分の仕事と企業経営の関係性がわからず、経営陣がビジョンや理念を打ち出しても、社内全体で共有されにくいのが実情のようです。

自社が社会のなかでどのような存在かを深く理解していないと、その一端を担っているという自負が生まれず、企業と従業員の間での相互的な関係を構築しづらくなります。企業に所属する誇り、責任感による自発的な貢献意欲が乏しいと、従業員エンゲージメントの実現は遠のきます。

なお、従業員エンゲージメントは事業利益に直結しているわけではないため、経営側が重要視してこなかったことも、従業員エンゲージメント向上を阻む要因として挙げられます。

従業員エンゲージメント向上の効果とメリット

従業員エンゲージメントが高い状態を維持することで、企業にどのような効果がもたらされるのかを解説します。

従業員エンゲージメント向上の効果

従業員エンゲージメントが向上することにより、以下のような効果が期待されます。

離職率低下

企業に貢献していると感じる従業員は、意欲を失わずに働き続けることができます。自分の日々行っている業務が自社事業に利益をもたらしているという喜びは、働く意欲につながるのです。業務を通じて企業ビジョンの実現に役立っていると実感することで、企業を離れたいという意識を持たなくなり、結果的に離職率を低下させます。

モチベーション向上

企業として目指すものを理解し、そのなかで果たす役割を知ることでモチベーションが向上します。企業とともに成長し、所属する喜びを体感しながら業務に励めるようになります。

業績向上

働く意欲を持つ従業員が増え、優秀な人材が離職することなく企業を支え続けることで、事業経営の安定化が図れます。新規事業の推進力が得られ、業績向上につながる好ましいサイクルが生まれます。

従業員エンゲージメント向上のメリット

従業員エンゲージメント向上には具体的に以下のようなメリットがあります。

職場の活性化

従業員エンゲージメントの高まりとともに、社内の情報共有・相互理解が進みます。これにより共通の価値観・目標のもとで事業が進められるようになり、期待どおりの成果がもたらされます。

風通しの良い企業文化が実現でき、社内に活気が満ちた明るい職場となります。

従業員同士の協力

企業と従業員との間に強い信頼関係があることで、企業全体の団結力も高まります。業務上の課題をそれぞれが自分事とすることで、解決に向けてチームとして立ち向かえるようになります。

顧客満足度(サービスプロフィットチェーン)

従業員満足度と顧客満足度には相関関係があるといわれており、これを「サービスプロフィットチェーン」という言葉で表します。サービスプロフィットチェーン(Service Profit Chain、略語ではSPC)とは、従業員満足度が高い企業では、自然にサービスの質が向上し、顧客満足の向上に寄与するという概念です。

従業員の企業への信頼、そこで生まれる商品・サービスへの愛着から、高品質な製品や情報を顧客に対して提供できるようになり、企業の発展に大きく貢献します。

人材不足のリスク低減

従業員エンゲージメントには従業員満足度をはじめ、働くことの意欲につながる要素が含まれています。居心地が良く、快適に働ける職場は離職率低下に貢献し、離職による人材不足や過重労働のリスク低減に寄与します。

採用力強化(リファラル採用への効果)

社内外の信頼できる人脈を介した採用活動であるリファラル採用において、従業員エンゲージメントの高さは、対象となる企業を薦める理由として説得力を与えます。在籍する従業員と企業の強い結びつきは、「良い企業」であることの証です。優秀な従業員が辞めずに働き続け、活躍する機会が提供される企業というイメージが定着すれば、採用活動にとって大きなプラスとなるでしょう。

従業員エンゲージメントの評価・計測方法

従業員エンゲージメントを評価する際は、客観性のある評価をもとにした現状把握を常に行うことが重要です。評価とその基準を提供する計測方法を紹介します。

従業員エンゲージメントの現状把握

従業員の現在の状況を的確に把握するためには、従業員への直接的なアプローチとツールを活用する方法があります。

従業員調査で測る

  • 従業員アンケート
    従業員に対するアンケート調査では、自社の状況に合わせた自由度の高い設計ができるため、知りたいことをピンポイントで把握できます。回答方法には従来の紙ベースのほか、オンライン形式があります。
  • コンディション把握
    キーボードタイピングの様子から業務への集中度を測定する、顔認証機能を使い、従業員の表情をチェックするといった方法があります。上司による観察、1on1ミーティングの感触などからも、従業員一人ひとりのコンディションを読み解くための情報が得られます。
  • エンゲージメントサーベイ(社内調査)
    従業員と企業間のエンゲージメントの状態を数値化し、さらに定量化(スコアリング)することで自社の弱点を把握できます。どの点を強化すべきかがわかれば、施策の検討につなげられます。

エンゲージメントサーベイの概要や実施ステップはこちらの記事でも解説しています。併せてご一読ください。

参考記事:なぜエンゲージメントサーベイが必要なのか?注意点・実施ステップを解説

ツールで測る

エンゲージメントツールの活用により、組織のエンゲージメント状態を可視化できます。エンゲージメントツールには、アンケートの配信・回答、リアルタイム集計、多角的分析、改善点の提案をサポートする機能などが搭載されており、組織力強化に役立ちます。

先に挙げた従業員調査でのコンディション把握に有効な、従業員エクスペリエンスを可視化するツールや、組織や従業員の課題意識を収集していくためのツールなど、多種多様なタイプが提供されています。

エンゲージメントツールの導入方法やツール選定のポイントはこちらの記事もご覧ください。

参考記事:エンゲージメントツールの導入メリット、種類や導入方法を解説

従業員エンゲージメントの計測要素

従業員エンゲージメントを測る要素には、主に以下の3つがあります。

理解度

従業員が企業ビジョン・理念・方向性を、どれだけ理解しているかの度合いです。企業が目指すところを自らの言葉で具体的に語ることができる、また業務を遂行するうえで、ビジョンや理念に沿った行動ができるといった点から理解度を判断します。

共感度

自社に対して根本的な部分に共感を持っているかという点が基準となります。帰属意識・愛着・誇りといった要素が該当します。社会環境や周囲の状況が変化しても企業への信頼があり、ゆるがない信念を持っていることが重視されます。

行動意欲

企業への貢献を常に意識し、自発的に行動できるかがポイントです。業務上の課題を自分のものとして考え、解決策を提案、実施する自律性と実行性に着目します。

従業員エンゲージメントを向上させる方法

従業員エンゲージメントを着実に向上させていくためのステップと、具体的な施策を解説します。

従業員エンゲージメントを向上させるためのステップ

  1. 企業と従業員間の共通認識

    従業員エンゲージメントそのものについての相互理解が前提となります。企業のあり方や存在価値に対する理解、信頼度が貢献意欲の醸成へとつながります。

  2. 現状把握

    先に挙げた計測・分析により、企業と従業員の関係を具体的に把握します。

  3. 課題をピックアップ

    現状把握をもとに、課題を掘り下げながら具体策を探ります。自社に足りない部分はどこか、それはなぜか、従業員側の視点から明確化することが重要です。

従業員エンゲージメントを向上させる効果的な施策

上記のステップに続き、従業員エンゲージメントを向上させるための施策を実行する必要があります。有効性の高い施策を解説します。

MVV ミッション(Mission)・ビジョン(Vision)・バリュー(Value)の浸透

企業経営の軸であるミッション・ビジョン・バリューについて、最前線で働く従業員こそが十分に理解している必要があります。

勉強会・研究会を開催してビジョンやミッションを共有する場を随時提供する、社内報の定期的な配信を行うといった方法により、折に触れて浸透を図ることが大切です。

情報共有ツールを活用しながら、ミッション・ビジョン・バリューと事業との関連性、社会での自社の立ち位置、果たすべき役割といった社長や経営側の意図をわかりやすく、かつ具体的に伝えます。また、社長・経営層と直接対話できる場を設けるなどで効果を高めます。

人事評価制度

人事評価制度を現状に合わせて最適化することは、従業員エンゲージメント向上に向けた重要度の高い施策のひとつとなります。

従業員エンゲージメントにおける信頼関係の構築では、努力が報われる、正当な評価が得られる企業として従業員から認識されることが重要です。

評価制度には、MBO(個人・部署単位で目標設定を行う目標管理制度)・バリュー評価(行動評価)・コンピテンシー評価(行動特性による能力評価)・360度評価など多種多様な評価法があります。これらのなかから自社に適したものを選定し、公正で納得される評価を実施していく必要があります。

特にテレワークなどで働き方が従来とは大きく変わった企業では、評価制度の再構築が重要となるでしょう。

レコグニション(承認・賞賛文化)

レコグニションの訳は「認識」「承認」ですが、ビジネスでは企業が従業員の取り組みや仕事ぶりに対しての価値を認めるという意味で使われます。

従業員の仕事上の成果や本人の努力を認め、感謝の気持ちを示したり、その姿勢を称えたりする施策です。単にボーナスを渡すというだけではなく、チームや組織で表彰を行い、栄誉を与えることがポイントとなります。

認められる・感謝される喜びを日々の業務から得られる企業風土を醸成することで、従業員エンゲージメント向上につなげます。

社内コミュニケーションの活性化(心理的安全性)

社内コミュニケーションの活性化により縦横のつながりを強化することは、従業員エンゲージメント向上に大きく役立ちます。

良好なコミュニケーションにより従業員同士が相互に知見やスキルを共有し、それぞれの業務への理解を深められれば、全社がチームとして働けるようになります。企業利益に貢献する取り組みを、部署の垣根を越えて行おうとする動きが強まります。

加えて、社内コミュニケーションの充実は、心理的安全性の維持に役立ちます。心理的安全性「サイコロジカルセーフティ(psychological safety)」とは、他人の反応に過度に反応せず、自然体の状態でいられるような穏やかで安心感のある環境を指します。自らが自律的に行動し、企業を良くするための意見を率直に述べるためには、この心理的安全性が非常に重要です。

社内コミュニケーションを活性化するためにも、管理層および従業員からの発信も含めた施策を考える必要があります。具体的には社内報発行、社内掲示板(オンライン含む)の設置、研修・レクリエーション開催などのほか、社内カフェやフリースペースといった社内施設の整備も有効策となります。

適切なフィードバック

従業員エンゲージメントでは、相互的な信頼関係が柱となります。日常的な業務シーンでは上司が誠意ある意見を述べ、従業員が真意を誤解することなく受け入れる関係性が求められます。そのためにも上司側には、ダメ出しではなく発展性のある助言を基本とする意識が必要です。

適切なフィードバックは、上司が見てくれているという実感を部下に与えます。人事評価制度とからめた取り組みにすることで、ブレのない評価となり、信頼性をいっそう高められます。

キャリア開発

前出の「キャリア自律」は、ともすると人材流出をイメージしてしまうかもしれませんが、企業にとっても悪いことではありません。従業員が自分のキャリアを真剣に考えることは、仕事に対する姿勢に良い効果をもたらします。

従業員の主観的な「キャリア充足度」の高さと「従業員エンゲージメント」の高さは、相関関係にあるとされています。個人のキャリア開発を企業側が支援し、従業員の主観的なキャリア充足度を高めることは、従業員エンゲージメント向上にプラスの影響を与えることが期待されます。

参考:経済産業省主催経営競争力強化に向けた人材マネジメント研究会|経済産業省

経営層を巻き込む

従業員エンゲージメント向上を実現していくためには、社内の一部の人事・育成担当部署や所属する部署の問題にとどまらないことを企業全域で理解する必要があります。従業員エンゲージメント向上は組織強化のための課題であり、永続的な経営を実現するための課題でもあります。

従来の日本型企業の経営においては、直接的な利益に結びつかない従業員エンゲージメントが後回しにされがちでした。しかし従業員エンゲージメントの低さは、生産性や競争力が低下する大きな要因となります。組織内部から強化するために、従業員エンゲージメント向上は今すぐに取りかかるべき課題です。

従業員エンゲージメントが低いままでは、かりに経営層側が新たな事業展開、事業戦略に出ようとしても、従業員側が「ついてこない」状態に陥ってしまうというリスクも懸念されます。

経営の基盤は現場で働く従業員にあることを強く意識し、経営層をも巻き込んだ従業員エンゲージメント強化を行っていく必要があります。

従業員エンゲージメントを経営課題としてとらえよう

従業員エンゲージメントの向上は、個人および組織全体のパフォーマンスを最大化するカギとなります。従業員自ら自発性を持って業務を遂行するためには、自社との精神的な強い結びつきが必要です。従業員エンゲージメントが確立されれば、自社に誇りを持ち、胸を張って商品やサービスを社会に提供する人材が働く企業となります。従業員エンゲージメントの向上は、人事部や該当部署の上司に任せて解決する課題ではありません。トップ自らが重要な経営課題として、取り組んでいく必要があります。

日鉄ソリューションズでは、従業員エンゲージメント向上のためのサービスを提供しています。自社の取り組みについて検討している際は、ぜひご活用ください。

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