製造業の現場における遠隔作業支援のメリットとは

製造業の現場における遠隔作業支援のメリットとは

人手不足が問題化している昨今ですが、製造業でも熟練技術者が足りないという悩みを抱えています。現場の管理をするにあたっても、従来のように直接現場に出向いて管理するのでは複数の場所を管理することは困難であり、コストも大きな問題となります。また、電話での現場指導も可能とは言え、詳しい状況を伝えるのが難しく、意思疎通が困難な面もあります。 「遠隔作業支援」は、そうした悩みを解決する手段のひとつです。
この記事では、遠隔作業支援を生かして、遠隔地での作業をまとめて管理する方法を紹介します。


遠隔作業支援の活用シーン

遠隔作業支援は、さまざまなシーンで活用されています。具体的な例を挙げて遠隔作業支援がどのように活用されているのかを紹介します。

遠隔作業支援が必要になる場面

作業現場での遠隔作業支援

現場とは離れた事務所で進捗確認が必要になる場合、遠隔作業支援を取り入れることで正確に進捗状況を把握できます。複数の現場も一カ所から確認可能なので、離れた現場に出向かなくてもよいというメリットがあります。

保守点検作業

現場に向かう人間を最小限に抑えコストを削減するとともに、現場での状況を把握するため、遠隔作業支援が取り入れられています。人手不足で複数の現場に手が回らないという悩みに対して大きな力になっています。

医療現場

手術のような高度な技術が必要な場面で遠隔からの技術支援が行えるほか、患者などに対する診療サポートも行えます。こちらも人手不足に対して力を発揮すると同時に、患者側には病院に行けなくても適切な処置を受けられるというメリットがあります。


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製造現場に遠隔作業支援を取り入れるメリット

遠隔作業支援の技術が活用されている場所は多岐にわたりますが、製造現場でも取り入れることによって多くのメリットを享受できます。製造現場で遠隔作業支援を取り入れるメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。

作業効率の上昇と作業の監視

現場で若手の作業員が作業する場合、熟練者のサポートが必要になりますが、すべての現場を少人数の熟練者で賄うことは困難です。

遠隔でのサポートであれば複数の現場の指導を一カ所で行うことができ、遠くの現場まで移動する手間をかけずに、適切な指導を行えます。

また、遠隔作業支援によるサポートにより、作業員が決められたマニュアルを守っているかを監視することができるため、危険防止にも力を発揮します。

適切なコミュニケーションが取れる

従来、現場の指導のためには、熟練者が直接出向いたり、メールや電話などを使ったりして意思疎通を図っていました。

直接現場に赴く場合、移動するための手間とタイムラグが発生するという問題があり、電話やメールといったやりとりによるコミュニケーションでは相互の認識に齟齬が生じて、誤った指示の受け取り方によってトラブルに発展する危険性もありました。

遠隔作業支援であれば、現場の状況を画像で適切に把握し、正確に相互の状況を伝えることができます。

教育ツールとしての活用

若手に対する指導はどの現場でも必要になりますが、遠隔作業支援を用いることにより教育にも役立てられます。

若手が熟練者の作業風景を遠隔作業支援で直接見ることで技術向上を見込めるほか、熟練者の作業風景を録画することにより技術継承にもつなげられます。

遠隔作業支援導入にあたり必要なもの

遠隔作業支援は多くの面でメリットがありますが、導入にあたってはいくつか必要なものがあります。以下の3つについて、具体的に紹介します。

カメラ(映像デバイス)

従来の電話やメールといったやりとりでは、詳細に現場の状況を伝えるのは困難です。正確な支援を行うためには、現場の状況をリアルタイムで伝える映像が必要になります。その際には現場に設置したカメラを使うことになりますが、これにはウェアラブルカメラが便利でしょう。

現場に設置したカメラで映す方法も効果的なのですが、次のような問題点があります。

場所によっては設置場所が確保できない。

作業をする場所は工場によってさまざまです。広い敷地すべてに監視カメラを設置するのはなかなか困難であり、場所によっては設置が困難で、固定型のカメラが使えないという問題があります。

また、狭い場所に設置すると作業の邪魔になり、作業効率が落ちる可能性もあります。

固定された範囲のみの監視になってしまう

固定されたカメラでは、ある程度カメラを動かせても監視できる範囲に限界があります。作業場全体をくまなくカバーすることや、見えない範囲の状況確認が困難です。

コミュニケーション時、作業者の手がふさがる

固定カメラによるやりとりでは、作業場の状況は事務所に伝えられるものの、逆に事務所から作業者に対して映像による指示ができません。映像を含めたやりとりはタブレットやスマートフォンを使用することになりますが、この方法では作業員の手がふさがってしまい、作業効率が落ちる、とっさの対応が遅れるといったデメリットが生じます。

ウェアラブルカメラ

ウェアラブルカメラを用いることで、固定カメラによる問題点を解決できます。

ウェアラブルカメラとは、身につけて撮影を行うカメラのことです。小型のカメラをヘルメットや胸などに装着して使用します。作業者自身に装着することで、作業場所に関係なく使用できるうえに、作業者自身の移動に伴ってほとんどの場所を監視できます。

身につけて操作するため、両手がふさがることもなく、映像を送信しながらカメラに備え付けのマイクで音声通話も可能です。

最近では、メガネ型のデバイスであるスマートグラスが普及しています。従来のウェアラブルデバイスと比べて特に優れている点としては、以下が挙げられます。

作業者の視点で撮影できる

従来のウェアラブルデバイスでも作業者の状態を十分把握できますが、スマートグラスは作業者の視点から撮影することで、作業をより正確に把握できます。

映像で指示することも可能

従来のデバイスでは基本的に音声のみのやりとりでしたが、スマートグラスでは映像などによる指示も可能です。スマートグラスがディスプレイの役割を果たすため、映像を通して事務所から現場に具体的な指示を行えます。

Web会議ツール

映像や音声を介したやりとりには、Web会議ツールを用います。Web会議ツールを用いたコミュニケーションでは、音声や映像だけではなく、その場に必要なファイルの送信や、音声が使えない現場でのチャットツールを用いたやりとりも可能です。

Web会議ツールを使用することにより、現場と事務所という一対一ではなく、事務所と多数の現場、あるいは現場同士で同時にやりとりができる面も大きなメリットでしょう。


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現場のデジタル化で的確な遠隔作業支援を

遠隔作業支援について紹介しました。遠隔作業支援は人手不足解消に役立つだけではなく、多くの現場で正確なやりとりをスムーズにし、作業効率を大幅に改善するとともに、技術継承にも貢献します。

日鉄ソリューションズの「ARPATIO」は、遠く離れた現場とのやりとりをリアルタイムに、かつ正確に行うためのツールとして力を発揮するものです。また、「安全見守りくん」と組み合わせることにより、作業員の状態をリアルタイムで正確に把握し、現場の作業員の安全と作業効率を一層高める効果があります。多くの現場を抱え、現場指導や状況の正確な把握にお困りの際には、ぜひお気軽にご相談ください。