日鉄ソリューションズ株式会社

Data + AI World Tour Tokyo 2025 イベントレポート

NEXT弥生を支えるAI・データ基盤構想とDatabricks活用によるDX推進の実践

タグ コラム

カテゴリ Databricks 業種・業界共通 業務効率化・業務自動化・業務プロセス改善 コスト削減・コスト最適化・経費削減 データドリブン経営 AI・データ利活用 デジタルソリューション&コンサルティング 生成AI 予測AI

2025年11月28日、ザ・プリンス パークタワー東京で行われたデータブリックス・ジャパン 株式会社主催のイベント、「Data + AI World Tour Tokyo」では、データとAI活用の最先端事例や技術が紹介されました。このイベントで日鉄ソリューションズ(NSSOL)は、ブースを出展したほか、弥生株式会社様とともに講演を行い、多くの反響を呼びました。本コラムでは、その講演内容をもとに、AI・データ活用の最前線や現場の課題と解決策、今後の展望についてレポートします。

>>特別コンテンツ:当日の登壇資料「NEXT弥生を支えるAI・データ基盤構想 とDatabricks活用によるDX推進の実践」をこちらでダウンロードいただけます。併せてご活用ください。

中小企業を支える「データ企業」への進化

弥生 株式会社AI・データ戦略部 DX・インテリジェンスチーム リーダー 大塚恭平様

会計ソフトなどの業務効率化ソフトウェアやFintechサービスを、中小企業・個人事業主に提供し、日本のスモールビジネス経済を支える弥生株式会社様。2024年時点でユーザー数は350万社を超え、有償契約は100万件以上、会計事務所との提携も13,000社超と、業務ソフト市場・クラウド会計市場ともに圧倒的なシェアを誇ります。
弥生様のミッションは「中小企業を元気にすることで、日本の好循環をつくる」であり、データやテクノロジーの力で経営の意思決定や事業の成長、資金繰りといったリアルな悩みを解決し、日本経済全体の活性化に貢献することを目指しています。

―DX/AI施策の全体像――「データドリブン経営」への転換

弥生様は、「2028年までにデータ・AIをコアに、すべてのビジネスを拡大・加速させる」という明確なDX/AI戦略目標を掲げています。具体的には、以下の4つのドメインに集約されます。

1. マーケティング&セールス変革
従来はリードから契約、リテンションまでの顧客情報が部門ごとに分断されていましたが、Databricks上にCDP(カスタマーデータプラットフォーム)を構築し、顧客の行動や利用履歴を一元管理。AIによるターゲティング分析やレコメンド施策も今後展開し、「マーケティングのPDCAを圧倒的に早くしたい」と現場の実感も語られました。

2. データドリブン経営
KPIの管理方法が部門ごとに分かれており、手作業による集計が主流だったため、正確な数字の把握や迅速な意思決定が難しい状況でした。そこで、経営層が中心となり全社共通のKPI体系を設計し、Databricks上でデータの統合と自動化に動いています。さらに、BIツールのDOMOや、Databricksが提供するAI/BIアシスタント機能「Genie」を活用することで、現場と経営層がいつでも同じ指標をリアルタイムに確認・分析できる環境を整え、意思決定のスピードを大きく向上させようとしています。

3. 顧客支援(コールセンター等)でのAI活用
新製品増加や季節性のある電話需要に伴い、オペレーターの育成や応答率の維持が課題だったため、FAQやチャットボットの強化を検討。SaaSとDatabricksのハイブリッド構成でログやVoC(顧客の声)をDatabricksに蓄積し、FAQ生成やコール質問応答分析をAIで内製化して現場の負荷軽減・顧客体験向上の実現を目指しています。

4. デジタルCFO構想
会計・給与の自動化にとどまらず、経営者や税理士がAIと自然に対話し、経営課題解決ができる世界を目指します。たとえば「今月の資金繰りは?」と質問するとAIが状況を分析し、最適な打ち手を提案。Supervisor Agentを中心に各製品やデータをAIエージェントが処理・分析する体制を整えていきます。

―Databricks導入の狙いと現場での変化

なぜDatabricksを選んだのかについて、大塚様は「データウェアハウス基盤やデータ可視化ツールなどを個別に組み合わせるよりも、Databricksに一元化することでTCOが圧倒的に下がります」と語ります。オープンソースの特性によってベンダーロックインのリスクが低く、今後の技術進化にも柔軟に対応できる点が魅力だとし、「まず一つに集約し、とことん使い倒すことでスピードと安全性を両立できる」と述べました。
さらに、Databricksは多様なツールやシステムとの連携性にも優れており、Native connectorを活用することでツール間のデータ連携もスムーズに行うことができると説明。その結果、CDPやKPI管理、FAQ・ログ分析などの業務プロセスを一気通貫でデータハンドリングできるようになり、カタログ管理や権限付与も一元化されてセキュアな運用体制を実現したいと語りました。

―実践のリアリティ 現場の課題と解決策

弥生株式会社様のDX推進は、理想論だけでなく、現場ニーズに根差した実践的な取り組みが特徴です。大塚様は「現場の課題や気づきを拾い、どうやってAIやデータの仕組みに組み込むかが最大のポイント。トップダウンで方針を決めても現場が動かなければ進みません」と強調。AI・データ人材の不足についても、「最初はNSSOLのような外部パートナーの力を借りて基盤を立ち上げ、その後内製化・高度化していくことが現実的です」と語っています。

弥生様のDX・AI推進体制は、「トップダウン」「ボトムアップ」「外部知見の活用」をバランスよく組み合わせている点が特徴です。経営層が「2028年までにデータ・AIをコアとしたビジネス拡大」という明確なビジョンを掲げ、全社KPIやデータ基盤の構想を主導することで、組織全体が納得してDX施策に取り組める環境が整っています。
さらに、現場からの課題や気づきを吸い上げて業務改善やデータ活用に活かすことで、「やらされ感」ではなく自発的なDX推進が進んでいます。加えて、DX推進の初期段階ではNSSOLのような外部パートナーと連携し、基盤構築や高度なモデル開発をスピーディに実現。外部の先進知見を取り入れつつ、段階的に自社内での内製化へと移行しています。このトップダウン・ボトムアップ・外部知見の組み合わせによって、理想論だけに終わらない、実効性の高いDXが実現されています。

―NSSOLによる伴走型DX

日鉄ソリューションズ デジタルソリューション&コンサルティング本部 先端技術オファリングセンター AIソリューション部 廣田雅直

弥生株式会社様に続き、日鉄ソリューションズ デジタルソリューション&コンサルティング本部 先端技術オファリングセンター AIソリューション部 の廣田雅直が登壇。「SIerとして様々な企業のデータ活用・AI活用の現場で培ったノウハウを、弥生様のプロジェクトにもフル活用しています」と述べました。

弥生様では、コールセンターの呼量予測※モデル構築支援からスタートし、データ基盤(パイプライン)構築、ダッシュボードやGenieスペースでのAI/BI活用までEnd to Endで支援しています。弥生様の課題は、各自が個別にデータを処理していたことによるデータの分散、データアクセスのしにくさ、そして属人的な呼量予測などでした。そこで、まずはデータ処理・管理の一元化、ダッシュボードでのKPI参照、AIによる予測自動化が必要でした。Databricks上でBronze(生データ)からSilver(標準化)、Gold(業務活用)へとデータを加工・集約することで、AI/BIダッシュボードで経営層から現場までクイックな意思決定が可能となります。NSSOLの強みとしては、Databricks Select Tierパートナーとして60名以上の認定技術者が在籍しており、他ソリューションとの連携実績も豊富な点が挙げられます。AI予測モデルや生成AI、ノーコードツールまで、現場の業務課題に合わせたベストプラクティスを伴走型で提供できることが特徴です。

※呼量予測:コールセンターなどで一定期間に発生する電話や問い合わせの件数を事前に予測すること

―実際の成果と今後の展望

AI予測モデルによる呼量予測自動化でオペレーターの工数・属人化を大幅に解消し、データ一元管理でKPIの可視化・リアルタイム意思決定が現場に定着し始めています。FAQやチャット・ナレッジDBのAI化で顧客体験も向上しました。また、「社内外のステークホルダーが同じデータを活用し、ビジネス施策を拡張する。将来的にはAIエージェントが複数連携し、経営の最適解を導く“チームAI”の世界も視野に入れています」と大塚様は未来像を語ります。廣田も「NSSOLは今後、Databricks認定技術者を100名規模まで拡大し、生成AIやリアルタイム分析のオファリングを強化します。弥生様のような現場密着型DXに、伴走型で貢献し続けます」と締めくくりました。

現場起点で進む、中小企業DXの新たな現実

弥生様と日鉄ソリューションズの取り組みは、AI・データ活用の理想論ではなく、現場の課題と現実的な解決策からスタートしています。経営・現場・顧客支援のすべてをデータとAIでつなぎ直す覚悟、現場に寄り添う伴走型SIerの技術とノウハウ、そして「一つをとことん使い倒す」という実践的なアプローチ。日本の中小企業DXは、「AIが自然に働く企業」への道を、着実に歩みはじめています。AIとデータ利活用にご興味のある方は、ぜひ日鉄ソリューションズまでお気軽にご連絡ください。貴社のDX推進を、私たちが伴走支援いたします。

櫻井 友也

日鉄ソリューションズ 株式会社
デジタルソリューション&コンサルティング本部
営業本部

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