日鉄ソリューションズ株式会社

電子化が進む今こそ押さえておきたい印紙税の基本

タグ コラム

カテゴリ CONTRACT CROSS 業種・業界共通 業務効率化・業務自動化・業務プロセス改善 コスト削減・コスト最適化・経費削減 ガバナンス強化・コンプライアンス対応 電子取引/電子契約 デジタルソリューション&コンサルティング

企業の契約・取引文書に関する相談で、いまだに多いのが「この書類には印紙が必要なのか?」という疑問です。電子契約の普及で印紙税の負担が軽減されてきたものの、紙での取引が一部残っている企業では、依然として注意が必要です。
本コラムでは、印紙税の基本から、誤解が起きやすい注文書・準委任契約書の取扱い、そして印紙の貼り忘れによる「過怠税」まで、実務で押さえるべきポイントを、日鉄ソリューションズ株式会社 デジタルソリューション&コンサルティング本部 営業本部の田中慎一郎が解説します。

※本コラムは、電子データでの取引がまだできていない場合や、取引の種類や取引先によって印紙が必要なケースについての一般的な参考情報です。様々な企業活動で発生する文書について、それが課税文書にあたるのか否かの判断が難しい場合は、国税庁HP(No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断|国税庁)を参照いただくことや、税務署に相談することをご検討ください。

印紙税がかかる文書とは? ― 課税文書の3条件

印紙税は、印紙税法で定められた「課税文書」にのみ課税されます。国税庁では、以下3つがすべて該当する文書を課税文書と定義しています。

  1. 印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
  2. 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
  3. 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと

以上がそろって初めて、文書は「課税文書」と判断され、印紙税が課されます。

参考:国税庁

電子契約・電子データが印紙税の対象外である理由

国税庁の見解によれば、印紙税の課税対象は「書面」に限られ、「電磁的記録」は対象外です。そのため、PDFでメール送付した契約書や電子契約サービスで締結した契約は、印紙税不要です。

※これは「電子帳簿保存法」とは別の論点のため、混同しないよう注意が必要です。

参考:国税庁

よくある課税文書の例

代表的な課税文書として、以下のようなものが挙げられます。
※印紙税額は文書の内容・金額で変動

  • 不動産譲渡契約書(1号文書):200円~60万円(軽減税率あり)
  • 金銭消費貸借契約書(1号文書):200円~60万円
  • 請負契約書(2号文書):200円~60万円
  • 建設工事請負契約書(2号文書):200円~48万円(軽減税率あり)
  • 継続的取引の基本契約書(7号文書):4千円
  • 権利譲渡・債務引受に関する契約書(15号文書):200円

実務では、請負契約書、基本契約書、覚書が特に対象となりやすく注意が必要です。

注文書・申込書 の印紙税の扱いとは

請負契約の現場で混乱しがちなのが「注文書の扱い」です。国税庁は、申込書・注文書等について次のように説明しています。

  • 印紙が不要となるケース(一般的)
    単なる申込みの事実を証明するための文書→ 契約の成立を証明するものではないため、通常は非課税。
  • 印紙が必要になるケース
    以下のいずれかに該当する場合、注文書でも課税対象となります。
  1. 基本契約や約款に基づき、注文書だけで契約が自動成立する場合
  2. 相手方の見積書等に基づき、注文書によって契約が成立すると記載されている場合
  3. 当事者双方が署名または押印している場合

特にIT業界や製造業では、注文書だけで契約成立とみなされる運用も多いため、実務上の確認が不可欠です。

参考:国税庁

準委任契約・委任契約の扱い ― 実は“非課税”が原則

準委任契約は原則として課税文書ではありません。しかし、契約内容によっては課税文書へ区分されることがあるため要注意です。

【印紙が必要となるケース】

  1. 1号文書 無形財産権の譲渡
    第1号文書『無形財産権(無体財産権)の譲渡』が記載されている場合です。もし、契約の際に発注側が所有している著作物を使って行う業務契約がある場合は注意が必要です。

  2. 2号文書 請負に関する契約
    準委任契約の場合には、成果物の完成を求められないため、請負契約ではありません。しかし文書をよく見ると、何らかの成果・結果が求められていることも多くあります。この場合には2号文書の『請負に関する契約』に該当し、課税文書となります。IT業界の契約において2号文書が発行される典型的な例としては、ソフトウェアなどの開発を委託される場合などについては注意が必要です。

  3. 7号文書 継続取引の基本となる契約書
    7号文書に該当するのは、3カ月超継続して取引される場合に交わされる契約書です。
    IT業界において7号文書が発行される場面と言えば、ソフトウェアなどの開発業務を委託されたときです。保守点検作業など、ソフトウェアそのものに対する継続した業務が入ると、『継続性のある請負契約』とみなされて、7号文書に該当する場合があります。

売買取引基本契約書や特約店契約書なども内容によっては7号文書として扱われ、印紙の貼付が必要となる場合があります。

参考:国税庁

貼り忘れるとどうなる? ― 過怠税に注意

印紙の貼り忘れが発覚した場合、「過怠税」というペナルティが発生します。

過怠税 = 本来の印紙税額の2倍
合計負担 = 印紙税額 × 3倍

たとえば4万円の収入印紙を貼り忘れた場合
4万円(本税) + 8万円(過怠税) = 12万円負担

紙契約が残る企業では、チェック体制の整備が重要です。

事務対応のポイント

電子契約が普及したことで印紙税の負担は軽減されていますが、紙の契約書が残る企業では、引き続き印紙税の判定が求められます。印紙税は、文書名ではなく 「何が記載され、どう契約が成立するか」 で判断されるため、実務では個々の文書内容を丁寧に確認することが重要です。
判断が難しい場合は、国税庁の情報を参照するか、税務署へ相談するのが確実です。また、実際の契約書運用や電子化への移行といった実務的な対応については、ぜひ NSSOL にお問い合わせください。契約業務全般を支援する『CONTRACT CROSS』をご利用いただくことで印紙税判定がよりスムーズになります。

田中 慎一郎

日鉄ソリューションズ 株式会社
デジタルソリューション&コンサルティング本部 営業本部

お問い合わせ

ソリューション・サービス全般に関するご相談・‍お問い合わせを承っております。
お気軽にご相談ください。

相談する