製造ラインの突発的な停止や作業員の安全などリスク監視のためのIoT化はどれも局所的で…
工場内のさまざまなデータを連携して全体最適化を実現できたプラットフォームの全容
- スマートファクトリー
背景
自社工場のIoT化施策に課題を感じていたA社。特に、労働者不足・現場作業者の高齢化に伴い、不測の設備故障対策や作業員の安全リスク管理、若手作業員向けの技術継承といった問題は大きくなりつつあり、早急に解決する必要があった。しかし本社からは具体的な改善策の実現は現場に委ねられていた。
部分最適化で連携されぬままの工場内システム!個別に解決していたのではきりがない…
A社ではこれまで、生産性の向上を図りながら工場内のIoT化を進めてきました。中でも、設備機器の故障などによる製造ラインの停止を防ぐため、各所に監視システムを設置し、機器の異常をいち早くキャッチできるよう工夫をしてきました。
設備保全部のK氏は当時をこう振り返ります。
「工場のIoT化は進めていたものの、さまざまな監視システムをバラバラに導入していたため、センサーの数が増えるにつれて運用負荷が高くなっていました。予兆保全に向けた分析をしようにも、システムが連携されていないために収集されるデータにはバラつきがあり、分析できるものではありませんでした」(K氏)
作業員の安全対策についても同様でした。
工場内の設備機器を点検する作業員にはベテランの年長者が多いため、点検時の転倒や事故のほか、健康リスクなどを考慮する必要がありました。そこで健康管理デバイスや、位置測位システムなど複数のデジタルツールを採用してきたのです。
「しかし、どれもデバイスは統一されていませんでした。その結果、作業員は多様なデバイスを現場に持ち込まなければならず、その扱いに注意しながらの作業は大きな負担となっていましたね」(K氏)
K氏は、これらの課題を解決しようと奔走しましたが、その方法は簡単には見つかりません。これらの対応に追われた結果、もう一つの重点課題であった若手への技術継承には着手できないまま、時間ばかりが過ぎていったのです。
課題のポイント
- 監視システムがバラバラで運用負荷が高く、予兆保全に向けたデータ活用もしづらかった
- 安全対策のためのシステムやデバイスが不統一だったため、作業には多様なデバイスを持ち込む必要があり、現場の負担が大きかった
- 山積する現場の問題への対応に追われ、若手への技術継承には着手できずにいた