ディープラーニングだけがAI・機械学習ではない? | 機械学習

ディープラーニングだけがAI・機械学習ではない? | 機械学習

AI/機械学習分野におけるキーワードに「ディープラーニング」がある。ディープラーニングは機械学習アルゴリズムの1つであり、実際の予測モデル開発現場では他の手法も用いられている。果たして問題解決にはどのような手法が有効なのだろうか。日鉄ソリューションズ ソリューション企画・コンサルティングセンターの三橋利也が解説する。

最適なアルゴリズムの選定はツールに任せる

日鉄ソリューションズ 三橋利也 氏
日鉄ソリューションズ
ソリューション企画・
コンサルティングセンター
三橋利也

“第三次AIブーム”といわれる現在、その火つけ役となったのは「ディープラーニング(深層学習)」だろう。ただしディープラーニングという言葉が先行したため、一部に”機械学習=ディープラーニング”という誤解もあるようだ。

「ディープラーニングとは、脳に見られる複雑に絡み合う神経網を模した人工的なネットワーク構造、いわゆる「ニューラルネットワーク」を多層化して機械学習の学習手法に応用したものです。多層のニューラルネットワークで与えられたデータからさまざまな特徴を見つけ出し、特徴量を計算・重み付けして、データが何を意味するのかを自律的に学習します。

ディープラーニングが有名になったのは、2012年に開催された画像認識コンテストで他を引き離す圧倒的な精度を実現したことがきっかけでした。そこからITベンダー各社がディープラーニングに注力するようになり、急速に広まったわけです。しかしここで注意しなければいけないのは、現時点ではディープラーニングも万能ではないので過度な期待は禁物ということです」(三橋)

ディープラーニングは、特徴量を自動抽出できる驚くべき技術だ。画像認識、音声認識、文章解析といった非構造化データを判別する機械学習アルゴリズムとして非常に優秀だと考えられる。しかし有効な領域は、画像や文章のように一つのデータの中に多くの情報が含まれる場合に限定される。また、ディープラーニングを利用する際に必要なデータ量やコンピューティングリソースも莫大だ。

「ビジネス領域にAI/機械学習を導入する場合、たとえばサポートベクターマシンやXgboost(eXtreme Gradient Boosting)といった分類や回帰に適したアルゴリズムの方が最適なケースも多いです。予測モデルを開発する際にはどのアルゴリズムを利用するのが最適かを見極める必要があります。とはいえ、どの機械学習アルゴリズムを適用すべきかの判断は分析専門家のデータサイエンティストであっても容易ではありません。そこでお勧めしたいのが、AI/機械学習のプラットフォーム「DataRobot」を利用することです」(三橋)

DataRobotには30種類以上の機械学習アルゴリズムが実装されており、これらのアルゴリズムと独自の前処理を組み合わせた1000種類以上の予測モデルのテンプレート(ブループリント)を備えている。DataRobotは、代表的なアルゴリズムを利用して予測モデルを作成し、精度を検証することで問題に応じた最適なモデルを提示する。

「たとえるなら、DataRobotの中には優秀なデータサイエンティストが複数人いて、各人が切磋琢磨しているわけです。AI/機械学習を導入した側で最適なアルゴリズムを選ぶ必要はありません。もちろんアルゴリズムの中にはディープラーニングも含まれています」(三橋)

ビジネスの問題解決に有効な手法はツールに判断してもらう ―― これが最も確実な方法だと言えそうだ。

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