取引先から電子契約参加の同意を得るためにどうすれば良いか | 電子契約

取引先から電子契約参加の同意を得るためにどうすれば良いか | 電子契約

日鉄ソリューションズ株式会社
斎木康二

(2021年9月28日更新)

取引先から電子契約参加の同意を得る方法

電子契約の導入を担当する方の最も大きな悩みの一つに、「取引先にどうやって参加してもらうか?」「取引先にどう説明すれば納得してもらえるか?」ということがあります。電子契約の導入を主導する「サービスオーナー企業」にとって、どんなに導入メリットが大きくても、取引先の同意がなければ、電子契約を導入することはできません。「取引先から電子契約参加の同意を得る方法」、今回はこの問題に取り組んでみましょう。

取引先の了解を得ることが電子契約を導入するための一番大切な課題なんだ。

取引先のメリット

まず、電子契約導入による取引先のメリットを考えてみます。

印紙税削減

例えば貴社が取引先に請負業務を発注していれば、取引先はその金額に応じて印紙を注文請書にはっているはずです。電子契約を利用すれば印紙税負担はなくなりますから、印紙税負担額がそのまま取引先のメリットになります。特に貴社からの発注金額が大きい取引先は、印紙税削減だけで、十分な導入効果をあげることができます。

郵送料削減

電子契約を利用すれば、もちろん郵送料、封筒代、プリント代なども不要になります。

受発注処理の業務削減・スピードアップ

意外にメリット大きいのが、ペーパレスによる事務処理効率の向上です。紙で注文書・注文請書のやりとりを行う場合、取引先は受け取った紙の注文書のデータの販売システム入力、注文書保管、請書作成、押印、印紙貼付、返送、コピー、7年間保管などすべて手作業が必要になります。また、手作業にともなうミスが多いことも問題です。電子契約の場合、すべてPC上の作業のため、様々な自動化、自動チェックが可能となり、大幅な省力化、ミスの防止を実現できます。

弊社電子契約サービスの導入事例では、ペーパレス化による事務処理効率化効果が、実は印紙税削減効果を上回る場合が多くあります。

取引先にとってのメリットもずいぶん大きいのね。この事をどうやってわかってもらうかが大切ね。

取引先のデメリット

次に、取引先のデメリットについてみてみましょう。

業務フローの変更

貴社と電子契約を開始した取引先は、貴社との契約は電子化しますが、他の取引先との契約は従来通り紙のため、業務フローが複雑になります。

利用料の支払い

電子契約サービスの利用料負担が生じます。印紙税削減や郵送料削減メリットとの比較が問題になります。

取引先に対する課金設定

ところで、電子契約サービスの導入を主導するサービスオーナー企業にとっては、メリットの大きい取引先もメリットの少ない取引先もなるべく多く電子契約を利用してもらうことが、自社の効率化につながります。

そこで、弊社電子契約サービスでは、一旦利用料の全額をサービスオーナー企業が負担し、取引先への課金はサービスオーナー企業が金額を含め自由に行うことができる仕組みとしました。これにより、サービスオーナー企業は、それぞれの取引先の導入メリットに応じて、課金金額を設定できるようになりました。例えば印紙税削減メリットの大きいところには多めに課金し、少ないところには少なめに課金するといった工夫をサービスオーナー企業が行うことで、より多くの取引先に電子契約利用を求めることができるようになります。

取引先のメリットに応じた課金体系をとることで、より多くの取引先に参加してもらえるようになるんだ。

取引先向け説明会の開催

また、電子契約サービス導入にあたっては、より多くの取引先に電子契約に参加していただくため、またスムーズにサービスを立ち上げるため、サービスオーナー企業による取引先向け説明会の開催は必須です。

この説明会で、電子契約導入による取引先のメリット・デメリットや導入時の作業イメージ、電子証明書・タイムスタンプなどの知識をきちんと理解していただければ、より多くの取引先に参加いただけることになります。
弊社コンサルティングサービスでは、取引先向け説明会での説明資料雛形の提供などを行い、スムーズな開催を支援します。

取引先向け説明会ではメリットだけではなくて、電子証明書やタイムスタンプなど新しい技術についてもきちんと説明する必要があるのね。

法令上の注意事項

最後にひとつ注意事項があります。それは、取引先に電子契約サービスの利用の説明会の場でも、利用を強制してはならず、必ず「従来通りの書面での契約を選択しても取引先に不利益はない」という説明をすることです。
取引先の中には、下請法の下請事業者に該当する企業もある場合が考えられますので、電子契約サービスの利用を強制することは、親事業者による役務の利用強制にあたる可能性があるからです。

電子契約導入のための20のヒント:目次

1. 法令

2. 技術

3. 運用

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