キャリアデザインとは何か? 企業にとってキャリアデザインが必要な理由

キャリアデザインとは何か? 企業にとってキャリアデザインが必要な理由

近年、経済や社会は目まぐるしく変化しています。先行きが不透明な時代のなかで、自らのキャリアについて主体的に考える従業員が増えているといわれています。そこで注目されているのが、自らのキャリアを俯瞰する「キャリアデザイン」という考え方です。キャリアデザインとは何か?企業にとってなぜキャリアデザインが必要なのかを解説します。



キャリアデザインとは

最初に「キャリアデザインとは何か」、その意味や概要、目的について解説します。また「キャリアデザイン」に似ている「キャリアプラン」「キャリアパス」「キャリアアップ」との違いも紹介します。

キャリアデザインの概要

キャリアデザインとは、自分自身が将来のなりたい姿やありたい姿を実現するために、ビジョンを明確にし、プランニングしていくことです。必ずしも仕事に関連するものだけではなく、プライベートも含めた人生全般を主体的に設計することを意味しています。

働き方や生き方は個人で決めていくことですが、企業や組織の一員である以上、部署異動や出向などが命じられるケースもあるでしょう。個人でキャリアすべてをコントロールできるものではなく、希望どおりの業務に関われるとは限りません。そのような場合でも従業員のモチベーションや帰属意識を低下させないためには、従業員自らが中期的な視点でキャリアを考えることが必要とされます。そのために有効な考え方がキャリアデザインです。また近年では、企業側が従業員へキャリアデザインを促すことも注目されています。

キャリアデザインの目的は「自分らしい働き方の軸を見つけ、自己実現」「行動を明確化」することです。従業員に自分のありたい姿や働き方の軸があれば、予期せぬ出来事や変化もポジティブにとらえ、前向きに仕事に取り組むことができるでしょう。

キャリアデザインに必要な要素

企業が従業員のキャリアデザインを支援するにあたり、押さえておくべき要素を紹介します。必要な要素を洗い出しながら従業員の自己理解を深め、プロセスやアクションを明確にして、プランニングしていきます。

■ 知識・スキル

業務を遂行するために必要な知識やスキルを洗い出します。目標の実現に向けて強みをどのように生かすのか、また足りないスキルがある場合どのように補っていくのかを把握することも大切な要素です。

■ 仕事に対する価値観

従業員の仕事やキャリアに対する価値観や意識を分析し、適性のある仕事について把握するように促します。従業員に適性があると思われる業務を提案したり、体験してもらったりすることでキャリアの幅を広げるきっかけになります。

■ 目標やありたい姿

従業員に仕事や人生における目標やありたい姿を明確にしてもらうことで、キャリアデザインの方向性が見えてくるでしょう。従業員が明確な目標を持っていない場合は、好きなことや興味があることを一緒に探りながら引き出すことがおすすめです。キャリアを良い悪いで考えるのではなく「自分の価値観に沿った、より働き甲斐を感じられるキャリアとは何か?」という目線で考えることがポイントです。

■ 行動特性

「リスクやトラブルに対してどのような行動をとる傾向があるか」のように、従業員の行動や思考のクセを知ることです。従業員は、他人との認識のズレを理解し、自己理解を深めることができます。

キャリアプラン・キャリアパス・キャリアアップとの違い

キャリアデザインと似ている言葉に、「キャリアプラン」「キャリアパス」「キャリアアップ」があります。キャリアデザインとの違いについて解説します。

■ キャリアプラン

転職や独立などを含めて、キャリア形成のための具体的な行動計画のことです。キャリアデザインではプライベートの人生設計を含

みますが、キャリアプランには含まれません。

■ キャリアパス

企業が従業員に提示する育成計画のことです。ひとつの企業の中で、目標とする職歴やポジションに就くために必要なステップを表したものと言えます。または、社内における異動や昇進の道筋のことを指す場合もあります。キャリアデザインでは従業員の主体性が必要ですが、キャリアパスではあまり重要視されません。

■ キャリアアップ

仕事において高いスキルや資格を身につけ、経歴を高めることです。キャリアデザインはプライベートを含めた人生設計ですが、キャリアアップにはプライベートなことは含みません。

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キャリアデザインが求められる理由

キャリアデザインが注目されるようになった背景には、終身雇用や年功序列制度の崩壊、VUCAと表現される先行き不透明な時代などの理由があります。成果主義の導入や中途人材の登用が一般的になったことで、「自律型人材」が求められ、キャリアデザインが注目されています。社会、企業、個人それぞれの観点でキャリアデザインが注目された背景を解説します。

※VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの単語の頭文字からなる言葉。

社会の変化

従来は「企業に勤めていたら定年まで安心」と言われていましたが、VUCA、コロナ禍に端を発したニューノーマルなどによって先行き不透明となり、個人が自分のキャリアを考えないといけない時代へと変化しています。また、グローバル化によりビジネスのやり方や経済構造が急激に変化したことに加え、人生100年時代に突入したことで、人の意識も大きく変わりつつあります。このような変化のなかで、国や企業は制度や体制を刷新しなければなりません。従業員もそれぞれがライフコースの見直しを迫られるようになり、キャリアデザインが必要とされています。

企業人事の変化

終身雇用や年功序列などの日本型雇用の崩壊や、仕事の成果によって評価が変化する成果主義の導入などによって、企業のあり方が変化しています。具体的には、転職や中途採用は当たり前になり、人材の流動性が高まっています。より従業員のスキルや実力が重視されるようになり、キャリアデザインが必要とされるようになりました。

個人の変化

従業員の働き方に対する価値観が多様化したことで、「どのように働くのか」「なぜ働くのか」と自分の価値観や生き方に合わせてキャリアを見直す人が増えています。自ら考え行動する自律型人材がより求められるようになったこともあり、キャリアデザインが必要とされています。

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企業が従業員のキャリアデザインを支援するメリット

キャリアデザインはあくまでも従業員が考えることですが、企業が従業員のキャリアデザインを支援する動きもあります。そこで、企業が従業員の描く主体的な人生設計をあと押しするメリットを紹介します。

人材力強化

経済のグローバル化、テクノロジーの急激な変化により、国内外で企業の競争力が求められる時代になっています。従業員一人ひとりがキャリアデザインをしっかり描けていることで高い成果をあげることができ、スキルアップや成長につながるでしょう。従業員の人材力向上によって、組織力向上も期待できます。

従業員の早期離職防止

企業は従業員が描くキャリアデザインを知ることで、現状と目標とのギャップにいち早く気づくことができます。キャリアへのギャップを知ることで軌道修正を図る、業務に対するギャップに対して将来のために必要な業務であることを従業員に伝える、などの適切な

対処をすることで、早期離職の防止にもなります。

従業員のモチベーションが上がる

キャリアデザインを構築することで、従業員はゴールまでにすべきことが見え、行動が具体化されます。従業員自らがスキルや能力の向上を実感できることで、モチベーションも上がることでしょう。

適切な人材配置の実現

企業側が従業員のキャリアデザインを把握しデータベース化することで、企業は人材配置の参考にすることができます。キャリアデザインを人材配置や人事育成計画にも使用でき、適切な人材配置の実現につながります。従業員が自らの能力を発揮しやすくなることもメリットです。

企業がキャリアデザインの構築を支援する方法

従業員のキャリアデザイン構築を支援するために、企業ができる取り組みを紹介します。

■ キャリア面談

従業員に個別で行う面談も有効です。従業員の希望や目標、モチベーションを直接確認することができます。自らの思考を言語化できない従業員の方向性を定める支援もでき、従業員が納得できるキャリアデザインのサポートにつながるでしょう。

■ 人事制度でのサポート

異動自己申告制、社内インターンシップ、転居を伴う異動なしの正社員制度など、柔軟な人事制度を取り入れることで、従業員のキャリアデザインのサポートが可能となります。さまざまな働き方を通じて、ありたい姿や目標を見つけられる従業員も出てきます。

■ コーチング

外部講師や先輩社員がメンターになって行うコーチングは、従業員の特質や潜在能力に応じたキャリアデザインを助けます。従業員自身の気づいていない強みの発見や、仕事に対しての具体的なアドバイスができることもメリットです。

■ 目標管理制度

従業員が設定した目標に対して「キャリアデザイン」を意識させることも重要です。支援の目的は、従業員の将来のキャリアを踏まえた目標を管理し、サポートすることです。

■ キャリアデザイン研修

定期的にキャリアデザイン研修を行います。研修では、キャリアデザインを構築するための一連の流れ、設計方法をレクチャーします。従業員を長期的にサポートする体制を作ることが、企業側にとって重要なポイントです。

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キャリアデザインで組織力の強化を

キャリアデザインは従業員個人の成長のために欠かせない考え方ですが、企業にとっても重要な意義を持ちます。従業員がビジョンを持ち、そのためのアクションを起こすことで、強みや能力を発揮し、企業の人材力強化につながります。また、優秀な従業員の定着に作用するといったように、企業が従業員の自律的なキャリア形成に加担するメリットは大きいでしょう。

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