従業員満足度の指標とは?正しく計測して企業経営に役立てよう

従業員満足度の指標とは?正しく計測して企業経営に役立てよう

生産年齢人口の減少とともに、ほぼすべての分野・業種で人手不足が深刻化しています。今後も人出不足について回復の望みが見えないなかで、どのような企業が人材確保に成功できるのでしょうか。厚生労働省の調査では従業員満足度の重要性を述べています。「従業員満足度と顧客満足度の両方を重視する」という経営方針を持つ企業は、「顧客満足度のみを重視する」という企業と比べて売り上げの増加とともに、人材確保においても良好である傾向が見られるからです。今回は従業員満足度に関する指標の種類や計測方法、ポイントについて解説します。

従業員満足度について詳しくは「従業員満足度とは?注目される背景やメリット、調査方法を解説」をご覧ください。


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従業員満足度を測る指標

従業員満足度を測る指標としては、次のようなものがあります。

  1. 仕事満足度:仕事の質・量、成長・スキルアップ、企業への共感・愛着
  2. 職場満足度:職場環境
  3. 上司満足度:マネジメントスキル、関係性
  4. 会社風土満足度:企業文化、情報インフラ・リスク管理、コンプライアンス
  5. 処遇満足度:人事評価、個人目標、労働時間、給与など
  6. 福利厚生満足度:勤務形態の柔軟性、退職金や年金制度、慶弔の扱いなど
  7. 経営満足度:企業ビジョン・経営方針への共感・理解
  8. 総合満足度:上記の項目について総合的な満足の度合い


従業員満足度を考える際には、上記の指標に従業員満足度の現状を照らし合わせる姿勢で臨みます。各指標と制度や環境の関わり、企業の取り組みが心身に与える影響など、多角的な視点から従業員満足度の全体像をつかんでいくことが必要です。

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従業員満足度の計測方法

従業員満足度は継続的な調査により、そのときどきの実態把握に努めながら向上を図っていきます。従業員満足度を計測する際には、次のようなサーベイを用います。

■ 組織サーベイ

人事部が取り組むべき、従業員満足度を高めるための施策をご紹介します。次に挙がっているのは従業員満足度の高い企業が持つ要素に沿った取り組みで、施策によってはいくつかの要素をまたいだ効果も期待できます。

■ 従業員サーベイ

職場環境、職場内での人間関係、企業としての組織のあり方などについて、従業員の意見を調査し、人事制度や就業規則の改定、そのほかの人事施策や人事戦略に活用します。従業員サーベイの実施頻度は年に1回~数カ月に1回程度の割合です。

■ パルスサーベイ

1~5分程度の簡単なアンケートを繰り返し実施する調査方法です。短いスパンで行うことで、よりリアルタイムでの現状把握が可能となります。パルスサーベイは、毎日・週1・月1など短期間で定期的に実施します。

■ エンゲージメントサーベイ

従業員が組織に抱く貢献意欲(エンゲージメント)を測る調査です。自社や業務への愛着の状況を知ることができ、組織と個人のより強固な関係性を築く施策を考えるための情報が得られます。近年は特に、従業員の働く意欲の活性化につながるサーベイとして、注目されています。実施頻度は年に1回~数カ月に1回程度の割合です。

■ モラールサーベイ

「モラール」は「士気」「作業意欲」などを意味します。個人レベルの意欲を表すモチベーションに対して、組織や集団として目的を達成する意欲を表します。職場環境、労働条件、人間関係などに関し、満足している点・不満足を感じている点、問題意識に注目し、組織としての安定性や結束力を測ります。モラールの低下は、離職や欠勤、事故の発生頻度や労使間トラブルに大きく関係するとされています。実施頻度は年に1回~数カ月に1回程度の割合です。

従業員満足度調査を設計する際のポイント

従業員満足度調査を設計する際のポイントを紹介します。

設問作成のポイント

従業員満足度の調査設計の際には、フレデリック・ハーズバーグの二要因理論を参考にすることが、正しく実態をとらえることに役立ちます。

二要因理論とは、職務における「満足」と「不満足」が引き起こされる要因に着目した理論です。この理論では、ある特定の要因の充足・不足が満足度を左右するのではなく、満足に関わる要因と不満足に関わる要因が別のものであるとしています。

二要因理論の要因は次のように分類されます。

  • 満足に関わる要因(動機づけ要因)
  • 不満足に関わる要因(衛生要因

またこの理論によると、これらの要因は相反するものではなく補完の関係にあり、従業員満足度を高めるためには2つの要因それぞれに対策を講じる必要があるとされています。

動機づけ要因と、衛生要因の詳細は次のとおりです。

  • 動機づけ要因(Motivator Factors)
  • 満たされることで、従業員のモチベーション向上に寄与するものです。なくてもすぐに不満が生じるというわけではありませんが、満たされるほどに前向きに取り組む源となります。動機づけ要因の例としては、「達成すること」「承認されること」「業務そのもの」「責任」「昇進」「昇格」といったものが挙げられます。

  • 衛生要因(Hygiene Factors)
  • 不足していると従業員が不満に感じるものです。一方で整備されていても、すぐには満足につながらない可能性があります。衛生要因の例としては、「経営方針」「給与」「福利厚生」「人事制度・人材育成制度」「上司や同僚との人間関係」「職場環境」などが挙げられます。

    一般的に従業員満足度に関わると思われがちな給与の額は、上記のとおり「不満足に関わる要因(衛生要因)」です。給与の額が下がると不満を感じさせますが、上げたとしてもそれでモチベーションが向上するとは限らないと推測できます。つまり給与の額だけで従業員満足度が決まるものではないと言えます。

調査全体のポイント

調査を実施するうえで、企業側が意識すべきポイントを解説します。

■ 調査の実施自体を目的としない

調査をすることは企業にとって必要ですが、調査自体が目的ではありません。組織としてどうなりたいのか、調査結果から何がしたいのか、企業として理想とする姿はどのような状態なのかといった調査の最終的な目的を明確化し、そこにつながる調査を設計していきます。

そのため、単発で終わらせては意味がありません。継続的な実施を計画し、先に挙げたサーベイを組み合わせながら、より成果を得られる実施方法を模索していきます。

診断領域・フレーム・測定手法の適切な組み合わせを行うことで、自社の課題を確実にあぶり出す調査が実現します

■ 本音が引き出せる調査を目指

調査の多くは従業員を対象としたアンケートを用いますが、設問を作成する際には、分かりやすく答えやすいことを心がけます。どちらにでも取れるような設問では、正しい調査効果が得られません。

また、アンケートの設問および調査説明では、誘導的にならないよう注意が必要です。上司に配慮した回答を促すといった操作が介入すると、調査をする根本的な意義が失われます。無記名により匿名性を担保する、結果のみを集計できるシステムを使うなどして、回答により個人のその後に影響がないことを表明します。

偏見や思い込みによる不要なバイアスを排除した設問とするために、複数人の視点を交え、客観性を重視した調査設計を行うことも重要です。

また、調査が従業員の負担になるのも避けなければなりません。調査手法によっては、頻繁に実施せざるを得ない場合もありますが、くれぐれも調査自体が従業員の満足度低下の原因とならないよう留意します。

従業員満足度調査結果の活用方法

計測した結果の取り扱い方と、従業員満足度向上への代表的な取り組みをご紹介します。

調査結果の取り扱い

調査を通じて得られた結果を無為にしないためには、次のような方法で役立てていきます。

■ 調査結果を踏まえ課題を可視化する

見て見ぬふりをしてきたもの、把握しきれていなかったものを言語化し社内で共有します。どのような状況下でどのような課題が生じているのかを可視化することで、対策検討へのステップに進めるようになります。

■ 経営層・上司・従業員が共通のテーマで議論する

全員参加型で改善策を検討します。それぞれの立場、見方を全社的に理解し合いながら、現実的な課題解決の方策を創出していきます。

■ 常に組織の状態変化を把握する

企業活動は常に変化を続けており、従業員満足度もそれに従って推移します。調査と分析、改善のサイクルを継続的な取り組みとして行い、動向をチェックしながら対応していきます。

■ 調査結果を社内だけでなく、社外にも公開する

従業員満足度向上に取り組む企業であることを外部に示すことで、社会的な企業イメージの向上に貢献します。例えばスタート時に好ましい結果が得られていない場合でも、改善に向けた取り組みと結果を提示することで、課題解決に積極的な企業姿勢をアピールできます。

従業員満足度向上への取り組み

調査結果を踏まえ、自社の弱い部分・課題を洗い出し、改善のための施策を実施していきます。具体的な取り組み例としては次のようなものがあります。

■ お互いに認め合う体制づくり

称賛のカードやポイントを送り合う仕組み・ツールを使い、ポジティブな気持ちを積極的に示す取り組みです。インセンティブ制度を導入することで、モチベーション創出のきっかけを与えられます。

■ 職場環境の改善

働く時間や場所を従業員自身が選択することで自律的に働けるABW(Activity Based Working)の導入、多目的スペースの設置など、働きやすく快適な職場環境を整備していきます。従業員から具体的な要望を集め、効果が高いと思われる施策から着手していきます。

■ 休暇取得の促進

休みやすい職場とするために、企業主導で休暇取得を推奨します。休暇中の業務フォロー体制をつくったり、早い段階でシフト調整を行ったり、取得のしづらさの原因を調査し、改善に向けた働きかけを行います。

■ コミュニケーション促進

カフェテリア・社員食堂・休憩ルーム・リフレッシュスペースなど、部署間を超えた交流を促す施設の設置や、イベントの開催などを実施します。環境づくりと同時に、企業側が話題を提供する・話しやすい雰囲気をつくるといったソフト面からのアプローチも行います。

従業員満足度について詳しくは「従業員満足度とは?注目される背景やメリット、調査方法を解説」をご覧ください。


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企業の魅力を強化する従業員満足度調査の活用

従業員は企業の最も重要な財産です。組織で働く人が生きがいを感じ、前向きに業務に取り組める企業でなければ活力は生まれません。魅力的な企業であり続けるためには、従業員満足度調査を活用し、改善への努力を続ける必要があります。

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