従業員満足度への取り組みがもたらすものとは?向上させる要因とメリットを紹介

従業員の離職は、企業の存続を危うくし、損失につながるマイナス要因です。多くの企業が離職率を低下させようと頭を悩ませているのではないでしょうか。また、離職による人材の不足は個々の従業員の負担増や、「人が居つかない企業」といったネガティブな印象にもつながります。従業員満足度の向上へのさまざまな取り組みからは、離職率を下げる効果や生産性の向上など、多くのメリットを得ることが可能です。今回は従業員満足度向上への取り組みと、従業員満足度を変動させる要因、そして従業員満足度の向上がもたらすメリットについて解説します。
従業員満足度について詳しくは「従業員満足度とは?注目される背景やメリット、調査方法を解説」をご覧ください。
従業員満足度を向上させるために必要な取り組み
具体的な施策や取り組みアイデアの具体例をご紹介します。
■ オンライン全社会議
全員が無理なく参加できる会議を定期的に開催し、一体感や所属感の醸成を行う
■ SNS目安箱
上層部に気軽に直訴できる仕組みを提供する
■ 業務改善アイデアコンテスト
小さなことへの気づきを収集し、業務改善に役立てられる機会を創出する
■ サンクスメッセージ
お互いに感謝を述べ合える制度。感謝し合うのが当たり前の文化をつくる
■ 事業部間交換留学
部署間の理解を深め、横断的なコミュニケーションを創出。自身の適性や潜在する志向を見出す機会ともなる
■ 権限のお試し移行
持ち回りでリーダーや責任者になることで、上に立つ経験を得る
■ 社食・カフェの充実
従業員の心身の健康を福利厚生面からバックアップする
■ お昼寝スペースの提供
快適な職場環境の一環としてリラックススペースを設置する
■ 自発的な他部署移動
直接交渉により許可された場合には、興味のある部署の業務に参加できる。興味のある業務に携わることで意欲向上の効果を得る
上記でご紹介したように、従業員満足度を上げるためにはさまざまな方法があります。ただし、単に複数の取り組みをすればよいのではなく、従業員のニーズに沿った対応をすることが重要となります。従業員満足度調査を活用する、日ごろから従業員の声を広く集められる仕組みをつくるなどして、ニーズをくみ取っていくように努めます。
従業員満足度を向上させる要因
従業員満足度に関わる要因には、大きく分けて「動機づけ要因」と「衛生要因」の2つがあります。米国の臨床心理学者ハーズバーグによって提唱された二要因理論のなかで、モチベーションに関連する要因として意味づけられています。
動機づけ要因
動機づけ要因とは、従業員が満足を感じられるきっかけとなる要因です。仕事へのやりがい、職場での働きがいに関連し、充足感を得ることで満足度が高まります。
動機づけ要因となるのは業務を完遂した達成感、周囲からの承認や賞賛、仕事そのものへの興味、責任・権限の付与、昇進・昇格、成長やキャリアアップなどがあります。
動機づけ要因は、不足してもすぐに不満となるわけではありませんが、モチベーションの維持に関係するため、前向きに業務をこなす姿勢に影響を与えます。
ただし本人の心理的な動きが大きく作用するため、きっかけが与えられても動機づけ要因とならない可能性があります。
衛生要因
衛生要因は、従業員の不満に関わる要因です。
働くことに対して最低限の満足が得られるためのベースであり、例としては報酬水準・評価体制・福利厚生・組織風土・経営方針・対人関係などが構成要素として挙げられます。
動機づけ要因と比べると、企業の制度や周囲の環境によるものが大きく、本人の努力では変えられない面が強いと言えます。また、衛生要因は心理的安全性にも関連するとされています。心理的安全性とは、周囲から非難・拒絶されることなく、萎縮せずに、自然体でいられる環境を指します。
衛生要因は、不十分であると不満足を生じますが、十分であっても満足感を得られるとは限らないのが特徴です。不満は解消されても、満足度が向上するわけではないという点に留意しておかなければなりません。
目的を意識した改善策を実施
先に解説した動機づけ要因と衛生要因は、お互いに補完の関係にあります。そのため、従業員満足度の向上のためには、充足感を喚起・保持する「動機づけ要因」と、不満を減少させる「衛生要因」、双方向での取り組みが必要です。
具体的には、衛生要因を整備したうえで満足度低下の要因を排除しながら、動機づけ要因に至る施策を実施していくことが求められます。
例えば、衛生要因に配慮するための職場環境の整備として、空調や業務上の設備の整備、ストレスの原因となるものを取り除くことを行っていきます。また、職場の雰囲気の悪さや同調圧力が強い、フォローがないため休暇が取りづらいなど、人間関係についても対応が必要です。これらについても、企業側が積極的に関わっていく姿勢を示し、改善に向けた施策を検討します。
そのうえで、動機づけ要因にかかるモチベーション維持の取り組みを行うと有効です。希望する業務内容や適性とのギャップ、チャレンジの機会が与えられないといった悩みをとらえて対応していく、年功序列による固定的な人事制度を改善して能力に応じた昇進・昇格を可能とするなどの方法があります。

従業員満足度の向上がもたらすメリット
なぜ従業員満足度向上に注力すべきなのか、企業にもたらされるメリットを解説します。
生産性が向上する
従業員満足度の高い企業では、個々の従業員が、自律性を持って業務に向き合う姿勢が見られます。働くモチベーションが維持されることで、前向きに仕事に取り組めるようになれば、個々の生産性が向上し全社的な好影響をもたらします。
組織への貢献度が向上する
企業目標を自分事として認識し、自身の業務を通じて能動的に企業経営に貢献する自覚を持ちます。業務上の行動に責任を持ち、自発的な課題の発見と解決が図られ、組織としての業績に寄与します。
人材の維持につながる
帰属意識が強化され、貢献感を抱くことで、「良い職場で長く働きたい」という気持ちから人材が流出しにくくなります。
自身のキャリアについての将来性が期待できることから、ステップアップへの意識が高まります。人材としての成長の機会が増え、社内に優秀な人材が育ちます。
人材確保が容易になる
また、従業員満足度の高さは求職者への大きなアピールポイントとなります。現代の採用現場では、働く環境に敏感な求職者が増えており、従業員満足度はそのひとつの指標とされています。
従業員満足度が高い水準で維持されていることで、優秀な人材獲得のチャンスが広がるでしょう。
顧客満足度が向上する
顧客に対し、誇りと自信を持って自社の商品・サービス提供ができる従業員が増えることで、顧客満足度の向上が期待できます。逆に従業員が不満を抱えて働いている場合、顧客に対しての細やかな気遣いができる余裕が失われます。つまり従業員満足度が高いと、業務に打ち込み、より質の高いサービスを提供する努力ができるようになるのです。
顧客管理に責任を持ち、自発的に学習や業務分析を行う従業員により、良質なサービス提供の機会が増加すれば、結果として顧客の企業に対する満足度が高まります。
一人ひとりの社員の対応を通じて、顧客からの企業への信頼が高められ、最終的には企業の業績アップも期待できます。
社会的な企業イメージの向上
働き方改革やブラック・ホワイト企業など、社会の企業に対する視線は厳しくなっています。従業員満足度は社会から見たひとつの判断基準となるため、従業員を大切にする企業としてイメージアップができます。
従業員満足度の高さが高水準で維持され続ければ、従業員が満足して働ける優良な企業であることが定着し、永続的な企業ブランド価値向上につなげられます。
従業員満足度のメリットについて、詳しくは「従業員満足度の高い企業は何をやっている?傾向をつかんで対策に活かそう」をご覧ください。
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従業員満足度の重要性を理解し業務環境改善につなげよう
働きづらさを感じる職場には、何らかの原因があります。ずっと働き続けたいと思える企業にするためには、従業員の満足度について理解することから始めなければなりません。上層部からの視点だけでは、気づけないことも多くあります。従業員満足度の要因に基づき、自社に潜在する課題を発見・改善していく姿勢が求められます。
「なやさぽ」は、従業員が抱える仕事の悩みの解決に向けて、自発的な行動をサポートする新たなHRサービスです。また、従業員の声を把握することも可能です。従業員満足度の向上にぜひお役立てください。