キャリア自律とは? 企業がキャリア自律を支援するメリットや注意点とは

キャリア自律とは? 企業がキャリア自律を支援するメリットや注意点とは

日本型雇用制度が崩壊しつつあることや働き方の選択肢が多様化したことによって、個人が自分のキャリアに対して興味を持ち、主体的に考える「キャリア自律」の考え方が重要になってきました。従業員側だけの動きではなく、企業側もキャリア自律を推進するようになっています。キャリア自律の概要、注目される背景やメリット、企業が従業員のキャリア自律を支援する方法などを解説していきます。



キャリア自律の意味

キャリア自律とは、企業主導ではなく、従業員が自分のキャリアについて主体的に考え、自律的にキャリア開発を行っていくことです。キャリアといえば、従来は企業が従業員に対して「どのような人材になってほしいか」を考えた教育システムによって形成されていくものだと理解されていました。つまり、従業員は自分のキャリアについて、企業に任せている部分が大きい状態だったのです。

しかし現在では、企業を取り巻くビジネス環境が不透明になっているため、従業員自らが自分のキャリア形成のために自主的にスキルアップや勉学に取り組み、成長することが求められるようになってきています。さらに、自らの意思や継続的な学習により積極的にキャリア形成することで、キャリア自律が高まるといわれています。

自立と自律の違い

読み方が同じで似た意味を持つ言葉が、「自立」です。「自立」と「自律」の違いを紹介します。

■ 自立

自律と同じく「自己を確立している」という意味を持ちます。「自立」は他人の力を借りずに、ひとりで物事を行うことを指す言葉です。「自立」は自分の意見を持ち主張することはできますが、他者とのつながりの意味は持ちません。そのため、好き嫌いをはっきり言うといった、自己主張で終わってしまう可能性を含みます。

■ 自律

「自律」は確固たる自分の意志を持ちながらも、他者との調整を図ることが可能です。自身の立てた規範に自分自身が従うことだけでなく、他者を尊重するという要素が「自律」には含まれているためです。キャリア自律ではこの「自律」という言葉が使われます。キャリア自律は、「独立」や「自分探し」といった単独でのキャリア形成ではなく、周囲のニーズに合わせた能力開発に取り組みながらキャリア形成を図る意味を持ちます。

キャリア自律が注目される背景は

近年、キャリア自律が注目されるようになったのには、どのような背景があるのでしょう。以下にその4つを紹介します。

■ 日本型雇用制度の崩壊

近年、終身雇用や年功序列といった日本型雇用制度は崩壊しつつあります。「定年までひとつの企業に勤める」という考え方をする人は減っていて、「自分のキャリアの責任は自分で持つ」と考える人が増えています。企業主導ではなく、従業員自らが求める能力やスキルを磨くようになっていることで、キャリア自律の重要度が増してきています。

■ 働き方の多様化

業務委託や派遣といった契約形態や副業制度など、さまざまな働き方を導入する企業が増えています。また、自分のライフスタイルに合わせて自分が望む働き方を模索する人も増えています。このような働き方の多様化が、キャリア自律をあと押ししていると言えるでしょう。

■ 組織に依存しない自己実現

企業主導ではなく、自らキャリア形成するという考え方も広まってきています。ただし、スキルや能力が低いと「ほかの職場で通用しないのではないか」という不安にさいなまれ、企業に依存しやすくなる傾向もあります。しかし、先行き不透明な時代にあって企業への依存度が高いと、それ自体がひとつのリスクになり得ます。企業に頼り過ぎることなく働いていくためにも、キャリア自律が注目されています。

■ 自発的に成長する人材確保の必要性

既存のビジネスモデルを継承するだけでは成長が見込めず、企業は自発的に成長できる人材を必要としています。自ら考えて行動し企業の成長に貢献できる人材が求められており、そのためにキャリア自律が必要とされています。

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キャリア自律で企業が得られるメリット

従業員側では、キャリア自律に取り組むことで自己実現や能力向上につながり、昇進や賃金アップなどの効果が期待できます。加えて企業側にも下記のようなメリットが生じますので、積極的に従業員のキャリア自律への支援を推進できるのではないでしょうか。企業が得られるメリットを紹介します。

生産性の向上

従業員の自律性が高まると、従業員自身が成長します。従業員の業務効率化への意識が高まり、生産性向上にもつながります。

優秀な人材の発掘

キャリア自律のために、従業員は自分の能力の引き出し方を考えます。能力が高まれば従業員自身の昇格や専門性の高いスキル習得などにつながるだけでなく、企業側も既存の従業員の能力の発掘をしやすくなるといったチャンスにつながります。

エンゲージメントの向上

企業が従業員のキャリア自律を支援すると、能力アップのための施策を提供してくれる企業に対し魅力を感じ、従業員のエンゲージメントが高まるといったこともメリットです。

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企業にできるキャリア自律の支援

続いて、企業ができるキャリア自律支援について紹介します。

学習の機会を提供する

いくら従業員に自主的にキャリア自律のための学習をする気ややる気があっても、通常の業務が忙しく、学習の機会が作れないこともあります。そこで、企業側が従業員の求めるスキルや知識を学べる機会を提供することも大事です。

キャリア研修を実施する

従業員に対し、将来像や目標設定をするキャリア研修を行うことで、キャリア自律の促進につながります。年代や属性に合った内容を用意すれば、大きな効果が期待できます。

自社内でキャリア形成できる環境を整える

社内公募・社内FA制度などを取り入れながら、自社内で従業員のキャリア形成ができる環境を整えることも重要です。従業員に挑戦する機会を提供することで、労働意欲だけでなく、従業員のキャリア自律を促す効果もあります。

社外で学べる機会を設ける

従業員の希望があれば、出向や社外留学などを検討するのも効果的です。社外で獲得したスキルや経験を自社に取り入れることで、組織の弾力性が高まるメリットもあります。

従業員のキャリア自律を支援するうえでの注意点

従業員のキャリア自律が高まることで、企業にとってのデメリットが生じることもあります。従業員のキャリア自律を支援する際の注意点を紹介します。

従業員の突然の転職

従業員のキャリア自律を促すことで従業員がスキルアップし、外部に目が向くことがあります。従業員の意識が自身の市場価値を高めることに向くと、転職のリスクが生まれます。企業がキャリア自律を支援する際は、それと同時に社内での自己実現のキャリアプランの選択肢を与えるといったように、帰属意識を高める仕組み作りが必要です。

上司の理解不足

従業員を導くべき上司にキャリア自律の認識が不足していると、部下は日々の業務に集中しなければならず、キャリア自律への機会を持てない可能性もあります。企業全体でキャリア自律の必要性への理解が必要です。

キャリア自律意識が浸透しない人もいる

従業員のなかには、現状に満足し、キャリア自律を望まない従業員もいます。一部の従業員だけがキャリア自律を実現しても、組織としての相乗効果の期待は薄いでしょう。企業はキャリア自律施策の目的や意味を従業員に丁寧に説明し、組織全体の個人に対する期待や求める役割を明確に伝える必要があります。

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従業員のキャリア自律を支援する環境づくりが大切

従業員個人にとってもキャリア自律の必要性が増していますが、企業や組織も今後生き残っていくために、従業員のキャリア自律を促すかたちへと変化していくことが求められます。企業が従業員の能力や可能性を発揮させるために、企業のキャリア自律に対する環境を整えることも重要です。

とはいえ、従業員の自発的な行動をどうあと押ししていけばいいのか迷う企業もあるでしょう。従業員の悩みの相談相手となるツール「なやさぽ」は、キャリア自律を促すことも可能です。キャリアカウンセラーの方々の知見や、大学との共同研究を反映した独自のロジックで、悩みを整理し、解決に向けた行動を支援します。従業員のキャリア自律をサポートするために、ご活用ください。詳しくは以下からご確認ください。

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