心理的安全性が低い企業とは?改善しない場合のリスクを解説

心理的安全性が低い企業とは?改善しない場合のリスクを解説

「心理的安全性」は企業運営を円滑にし、個々の従業員の力を十分に活用していくための重要な要素のひとつと言われています。従業員が不安を抱えながら働く心理的安全性の低い職場では、業務が非効率化し、企業全体の生産性にも影響を与えます。今回は心理的安全性が低い企業にはどのような特徴があるのか、低くなる要因や企業に与えるリスクについて解説します。



心理的安全性の全体像については「心理的安全性とは?メリットや効果、高めるための心構えを解説」をご覧ください。


心理的安全性が低い職場の特徴

はじめに心理的安全性の概要と、心理的安全性が低い職場の特徴を解説します。

「心理的安全性」の概要

「心理的安全性」は、ハーバード大学の組織行動学者エイミー・エドモンドソン教授が提唱した概念で「対人関係においてリスクのある行動をしてもこのチームでは安全であるという、チームメンバーによって共有された考え」と定義されています。

心理的安全性が確保されている場合、個々のメンバーは、チーム内においては考えや発言が拒絶されたり、罰を受けたりすることがないと感じられます。自分らしくあることや自分らしく振る舞うことによってリスクを生じないことが担保されているため、安心して自身の考えを表現できます。

例えば、知っていて当然と思われるごく初歩的な質問についても「こんなことを聞いて笑われないか」「初歩的なことすら分からないなんて、劣った人材と見なされないか」という不安感を持たず聞くことができます。

率直に質問できるため、疑問をスムーズに解決できるようになります。同様に、突飛と思われるアイデアなどを提案しても、それによって軽んじられる、疎外されるなどの心配を持たずにいられるため、革新的な方向性を見いだせる可能性が広がります。

心理的安全性が低い場合

心理的安全性が低い職場には、以下の4つの不安が存在するとされています。

■ 無知だと思われる不安

「今さらこのような質問をすると無知な人材だと思われるのではないか」という不安から、疑問が生じても素直に尋ねることができなくなります。疑問を解決できないまま無理に進めることで、業務に支障を来す恐れがあります。分からない、理解できないという状態にあっても、相談ができずに悩みを抱えてしまいます。

■ 無能だと思われる不安

「能力が低いと見なされるのではないか」という恐れから、失敗しても周囲に打ち明けられなくなります。ミスをしても隠そうとし、大きなトラブルへと発展するリスクも大きいです。

■ 邪魔をしていると思われる不安

「この意見には意味がないのではないか」など、自分の発言が進行の妨げになることを恐れ、良いアイデアを出したり課題に提言したりすることができなくなります。その場の空気を壊したくない、存在を排除されたくない、などと考えてしまうと、行動に起こす前にあきらめてしまうようになります。

■ ネガティブだと思われる不安

たとえそれが合理性のある指摘であっても、前向きでない・批判的であるととらえられることを恐れ、表明できなくなります。ネガティブ思考のレッテルを貼られるのではないかと思い込み、反対意見を口に出せません。

上記の4つの不安により、自発的な言動を起こせない状態が続くと、それが当たり前となっていくでしょう。消極的な姿勢のメンバーばかりになると、活力が失われ、慣例にのみ従う硬直化したチームとなりかねません。

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心理的安全性が低くなる要因

組織において、心理的安全性が低くなる要因となるものを解説します。

固定化した企業文化や慣習

年功序列や縦割り制度、厳しい上下関係の職場です。そうした職場は風通しが悪く、慣習重視による硬直化が見られるほか、年齢や序列にしばられ、上の意見には逆らえない雰囲気となります。個々の意見を表に出しにくい企業文化・習慣が、心理的安全性を低下させていきます。

コミュニケーション不足

気軽に話せる雰囲気がない、業務以外の会話がないという職場の状況も、心理的安全性を低くする大きな要因です。また、意見交換や議論の機会がなく、他者の意見を聞く経験がないと、自身でも発言を控えるようになります。

部署間交流や全社的イベントなど、組織としてコミュニケーションがないことに対しての対策がなされていない職場では、特に心理的安全性が失われやすくなります。

職場環境や雰囲気

オフィスのレイアウトや休憩場所の設置など、コミュニケーションを促すための施策は、職場の雰囲気に大きな影響を与えます。会話が自然発生する工夫がされていない職場では、年齢層や契約形態による関係性の断絶を解消する機会がありません。

特に個別作業が多い業種では、社内カフェなど息抜きの空間を提供するなどしてメンバー同士の会話を促さないと、自発的な改善は難しいでしょう。

マネジメント能力の不足

見てもらえている、評価されているという気持ちは、心理的安全性を高めます。個々の従業員へのフォローがない、フィードバックがなされないといった状態は、上司・部下の関係性を希薄にします。

管理側のマネジメント能力の不足により、適切な人材管理がなされていない職場は、心理的安全性が低下する恐れがあります。

成果重視の偏重

ノルマや成果のみを重視しすぎている組織は、個々の競争が激しくなり、気軽に発言する余裕が失われます。うっかりしたことを言うと、それだけでマイナスの評価につながるのではないかという恐れから、メンバー同士がお互いに警戒し合うような環境となります。

また、成績が思うように伸びず、達成できないと冷たい視線を浴びる・叱責されるといったことが繰り返されると、職場に対して不安感しか抱けなくなります。

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心理的安全性が低いままだと何が起こるのか?

心理的安全性の低さが改善されない場合のリスクを解説します。

企業全体の生産性低下につながる

従業員が不安感を持ち、委縮した状態のままでは、個々人のパフォーマンスが低下し、能力が十分に発揮されません。また、メンバー間に不信感が内在し疑心暗鬼に陥ると、チームでの業務が円滑に進まなくなります。

さらに、早期のうちに疑問が解消されず、業務上の悩みを相談できない場合、確信の持てないやり方で進めてしまい、結果的にミスやトラブルが頻発するといった事態も起こり得ます。

人材不足につながる

心理的安全性の高い組織は、居心地の良い職場であることを示します。一方で、心理的安全性が低い職場に対しては貢献感や帰属感を持つことが難しいため、従業員の離職増加が懸念されます。

社内の活気のなさや従業員の不安気な様子が求職者に伝わると、採用活動にも悪影響を及ぼすでしょう。苦労して人材を獲得できても、職場の雰囲気が悪いと定着せず、慢性的な人手不足につながります。

社会的な信用の低下につながる

心理的安全性の低さにより、従業員満足度も低下します。企業内の雰囲気の悪さが取引先や顧客などの外部に伝わると、それが社会的な評判に影響を及ぼしかねません。

従業員のモチベーションの低下から業務品質が悪化したり、覇気のない対応となったりして、取引先や顧客などとの関係悪化を招く恐れも高いです。

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心理的安全性の低下は企業力を弱体化させる

企業経営の要は、従業員の業務を遂行する力です。心理的安全性が担保されていることは、個々の従業員が安心して活躍できる職場であることを示します。心理的安全性が低いままでは、やがて企業全体の生産性が下がり、人材の流出リスクを高めます。自社の心理的安全性に疑念がある場合には、早急に現状を把握し、改善を促していく必要があります。

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